非課税期間終了が近づくNISA口座の株:3つの対応方法

 NISA口座で保有している株については、非課税期間終了が近づく今、どのように対応するか、あらかじめ決めておく必要があります。具体的には以下の3つの方法があります。

(1)2021年中の非課税期間内に売却する
(2)何もしない(2022年以降は通常の口座へ移管)
(3)ロールオーバーする

 必ず何らかの手続きをしなければいけないということではなく、(2)の「何もしない」でも大丈夫です。ただしその場合は、2022年以降、通常の口座へ自動的に移管されます。この「通常の口座」というのは、特定口座を開設している場合は特定口座、そうでない場合は一般口座です。

 そして、(3)の「ロールオーバー」とは非課税枠を使い続けるための手続きです。2017年にNISA口座で購入して保有し続けている株を、2022年のNISA非課税枠に橋渡しして、さらに5年間非課税とします。

NISA口座保有の株:通常口座へ移管時の株価は、買値ではなく2021年末の時価

(1)~(3)のうち、(1)「2021年中の非課税期間内に売却する」、(2)何もしない(2022年以降は通常の口座へ移管)」の2つの対応は、本質的にはそれほど大きな違いはありません。

 なぜなら、通常の口座へ移管時の取得価格は、2021年末についている株価だからです。NISA口座で購入したときの価格ではないのです。

 では(1)と(2)について、例を挙げて説明します。NISA口座で2017年に50万円で購入した株が、2021年末に100万円、翌2022年に120万円になったケースです。

NISA非課税期間中の2021年内に売却したら?

 2021年中にこの株を売却した場合、50万円(100万円-50万円)の売却益に対する税金が非課税となります。

NISA非課税期間外のさらに値上がりした2022年に売却したら?

 次は2021年末に売却せず、2022年に120万円まで上昇したところで売却したとします。

 この場合、売却益70万円(120万円-50万円)に対する課税ではなく、20万円(2021年末時点の株価100万円と、売却額120万円との差額)に対する課税となります。