注目の米国ホテル株3:ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス
ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT)は「ウォルドルフ・アストリア」「コンラッド」「LXR」「キャノピー」「ヒルトン」「ダブルツリー」「エンバシー・スイーツ」「ハンプトン」などのブランドを、グローバルに展開するホテルチェーンです。
ブランドのポートフォリオからすればマリオットに比べて安い価格帯が多くなっています。部屋のグレードで言えばラグジャリーが2%、アッパー・アップスケールが29%、アップスケールが33%、アッパー・ミッドスケールが33%、ミッドスケールが2%などとなっています。
同社は、いわゆる「持たない経営」を行っています。
修正EBITDAのうち73%が米国から稼ぎ出されており、欧州は11%、アジア太平洋は10%、その他が6%となっています。
同社の新規開業予定の案件はアジアに傾斜しており、高品質で、最小限の資本投資で良いリターンが見込まれる案件ばかりです。開業を待っている建設中物件の数はライバルのマリオットやインターコンチネンタルより多いです。現在の建設中客室数は40.4万室です。
純負債は75億ドル、ネット・レバレッジ比率は修正EBITDAの5.7倍です。向こう3年間は償還を迎える社債は無く、平均デュレーションは7年です。
同社は「ヒルトン・オーナーズ」と題されたメンバー・プログラムを展開しており現在のメンバー数は1.23億人、過去9年間、平均して年率15%で会員が伸びてきました。同社のホテルに宿泊する客の60%がヒルトン・オーナーズの会員です。
また同社はデジタル・キーによりチェックイン時にフロントに寄らなくてもスマホをかざせば自分の部屋に入れるシステムを順次導入中です。
10月27日に発表された第3四半期決算ではEPSが予想84セントに対し78セントと予想を下回りました。売上高は予想17億ドルに対し結果17.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+87.5%でした。同社のビジネスは引き続き新型コロナで極端に落ち込んだレベルからの回復中です。
スモールビジネスの出張が大企業の出張より速く回復しています。一方行楽客は夏に勢いよく改善したのですが、学校が始まったこと、勤め人が会社に戻ったことでやや下落しました。これはノーマルな現象だと思います。
システムワイドRevPARは90.39ドルで、前年同期比+98.7%、2019年の同期と比較すれば▲18.8%でした。客室稼働率は64.3%でした。前年同期は21.5%でした。
同社のビジネス・トラベル客のうち70%は中小企業に勤めるビジネスマンです。
2021年の客室数成長率は+5.0~5.5%を見込んでいます。