Q:株式のリスク・プレミアム(リスクを負担することで期待できる追加的なリターン)は、どうやって決まっているのですか。

A:(質問が、だんだん「痛いところ」に近づいて来ました)

 1つには、個々の投資家が株式のリスクを負担するに当たって欲しいと思っているリターンから決まり、もう1つには、市場の取引を通じて、他の投資家の期待リターンを推測するゲームが進行して、リスク・プレミアムの「相場」が決まると考えられます。

 いくらか問題なのはリスクです。金融の理論家は、大まかには、合理的な投資家はポートフォリオを組んでリスクを低減して投資を行うと想定します。その場合、個別銘柄がポートフォリオのリスクに与える影響に応じて、その銘柄に適用されるリスク・プレミアムが決まるのが合理的だと考える。すると、その企業の将来の利益を現在価値に割り引く割引率が決まって、後は利益予想があれば、企業の株価を評価することができると考える。

 実は、作業としては利益予想が難しいのですが、ここは実務家が上手くやるのだと仮定してしまって、結論を得たことにすればいいので、理論家(≒学者)は気楽な商売です。

 株式投資のリターンは、企業の利益によって決まっているというよりも、株式市場の中で投資家が評価するリスクに応じて決まっている、というのが答えになるのではないでしょうか。「株式投資は、成長を買うものだ」というよりは「株式投資は、リスクを買うものだ」という方が、株式のリターン形成の現実に近いのです。