LNG(液化天然ガス)は東南アジアやオーストラリアなどから輸入している

「脱炭素」をきっかけとし、政策的な側面から、今後ますますLNG(液化天然ガス)による火力発電の重要性が増す可能性があると、書きました。そのLNGですが、どこから輸入しているのでしょうか。

 以下は、日本におけるLNGの輸入先です。

図:日本における液化天然ガス(LNG)の輸入先

出所:財務省貿易統計のデータをもとに筆者作成

 日本のLNG消費量は世界最大級です。天然ガスは、マイナス約162度に冷却すると、液体化し、体積は600分の1程度になります。タンカーでの輸送といった大量輸送や大量保管の際は、この性質が活用されています。

 日本はLNGのほとんどを、輸入に頼っています。輸入先は、2019年度時点(コロナ前)で、オーストラリアからが39.2%、東南アジア(マレーシア、ブルネイ、インドネシアなど)が27.7%、中東(カタール、オマーン、UAEなど)が17.0%、ロシアが8.3%、米国が5.4%、アフリカが1.6%、その他が0.9%です。

 グラフのとおり、20年前に比べて、輸入先の国の数が増えたことが分かります。2000年度は8カ国でしたが、2019年度は15カ国でした。調達先の多角化が進んでいることが分かります。

 先述の通り、日本政府は、2030年度までに化石燃料を使用した火力発電を40%程度まで低下させることを検討しているわけですが、このことは、2030年度までは、火力発電をゼロにしないことをも、意味していると言えるでしょう。

 石炭の使用量を減らし、少しでも温室効果ガスの排出量を低減させながら、火力発電のメインをLNGにすることになるでしょう。エネルギーの安定供給を目指すべく、今後もますます、調達先の多角化が図られることになるかもしれません。