【問1:答え】原油生産量No1は、サウジアラビア?米国?

【答1】米国

 原油生産量No1は、「米国」です。

 以下の英文の通り、米国の政府機関である米エネルギー情報局(EIA)のウェブサイトに、米国は世界で最も大きな原油生産国だと、書かれています。

The United States became the world’s top crude oil producer in 2018 and maintained the lead position in 2019 and 2020. (EIAのウェブサイトより抜粋)

 以下の図からも、2018年に米国がサウジを追い抜き、トップに躍り出たことが確認できます。

図:世界トップ3の原油生産量 単位:千バレル/日量

出所:JODIのデータをもとに筆者作成

 米国が世界No1の原油生産国になった原因は、2つあります。1つ目は、広く報じられているとおり、米国で「シェール革命」が起きたためです。

 歴史的に石油産業が根付いている米国は、高い掘削技術を持っています。土地の所有者に地質調査や鉱物資源を所有する権利がある米国独特のルールも、革命を後押ししました。2010年ごろからの生産量の急増劇は、まさに革命です。

 2つ目は、OPEC(オペック)加盟国とOPECの考えに賛同する非加盟国が、原油の減産を開始したためです。OPECとは、Organization of the Petroleum Exporting Countriesの頭文字をとった組織の名前で、日本語は、石油輸出国機構です。

「輸出」ですので、「輸入」する国は原則、加盟していません。かつてインドネシアは加盟国でしたが、2016年末に脱退しました。輸入量が増加したことが一因と言われています。米国が加盟していない主な理由は、主体が国ではなく、企業だから、だと考えられます。

 この場合の減産とは、原油生産量を人為的に削減することです。2021年7月時点で、OPECとその考えに賛同する国は合計で23カ国あり(OPECプラスと呼ばれています)、世界全体に占める生産シェアはおよそ半分です。

 こうした大きなシェアを占めるグループが、生産量を減らした場合、世界全体で供給量が減り、原油市場に上昇圧力がかかります。

 原油を輸出する国にとって、原油価格は「単価」であり、収益を支える重要な要素です。この「単価」を引き上げるべく、彼らは自ら「量」を減らしているわけです。量を減らしても、単価が一定水準を超えていれば、収益を維持することができるのでしょう。

 2017年1月から始まったOPECプラスの減産は、休止した2020年4月を除けば、4年8カ月、続いています。こうした、サウジアラビアとロシアの自ら生産量を絞る行為もまた、シェール革命と同様、米国を原油生産量No1にした要因と言えます。

 OPECプラスの国々については、「「全部のせ」ならぬ「全部高」!期待というニンジンに原油も銅も釘づけ状態」で詳細を述べています。

 では、2問目です。

【問2】石油消費量No1は、中国?米国?

ヒント:中国の各種エネルギーを使うことで発生する二酸化炭素の排出量は、米国のおよそ2倍ですが、石炭を重用していることが主な要因とされています。(IEA(国際エネルギー機関)の統計より 中国9,570トン、米国4,921トン(2018年))

 2000年代前半から急激に経済成長を遂げ、中国は主要国の仲間入りをしました。都市部の発展は現在も進行中です。圧倒的な人口を背景にさまざまな分野で大きな需要があり、かつ広大な面積を背景に諸資源を供給するなど、諸外国との貿易の規模も大きいことが特徴です。規模の原理で、中国が世界No1の石油消費国、と考えた方もいるのではないでしょうか。

 かたや、歴史的に石油産業を国家の重要産業としてきた米国は、石油を使う文化が根付いているため、消費量は数ある主要国の中でも多い傾向があります。昨年の米大統領選でバイデン氏が容易に勝利できなかったのは、政策の一つに「脱炭素」を前面に出したことが、石油を重視している一部の米国の人々に受け入れられなかったため、という指摘もあります。米国はまだ、石油の国である、だから米国が世界No1の石油消費国、という考えもあると思います。

 答えは、次のページです。