米国小売専門店の決算は好調!

 小売業の企業はクリスマス商戦の期間とその後に来る1月のバーゲンセールの売り上げをすっぽりと捉える目的で、わざと決算の締めをカレンダー・イヤー、すなわち12月31日とせず、1月末にしているところが多いのです。このため、四半期決算の締めは1月末、4月末、7月末、10月末となっています。

 いまは第2四半期、すなわち7月で締めた決算が発表されており、総じて好調です。

 この理由は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むにつれて人々が街に出始め、経済が再開しているものの、デルタ変異株のまん延で、旅行需要は再び暗転していることです。人々は旅行に行けない分、モノを買うという消費行動を続けているのです。

 消費財の需要は旺盛で、アジアから北米に向かうコンテナ船の積載量はひっ迫しています。代表的なコンテナ港であるロサンゼルスのロングビーチ港の沖合には、たくさんのコンテナ船が順番待ちの列をつくっています。

 いまはクリスマス商戦期間に向けて、小売業者が在庫を確保する大事な時期なのですが、デルタ変異株でベトナム政府が工場の閉鎖を指示するなど、出荷計画に狂いが出ています。それらのことから小売業者の決算はとりわけ注意深く吟味する必要があります。

米国小売業の決算1:ルルレモン・アスレチカ(LULU)

 ヨガなどのスポーツ・アパレルを専門とするルルレモン・アスレチカ(LULU)の第2四半期(7月期)決算はよい内容でした。

 EPS(1株当たり利益)は予想1.19ドルに対し1.65ドル、売上高は予想13.3億ドルに対し14.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+60.7%でした。

 2年間通算CAGR(年平均成長率)では売上高は+28%で成長しました。これは新型コロナ前の同社の売上高成長のペースを上回っています。

 2年間通算CAGRベースで、北米売上高は+26%で、海外売上高は+43%で成長しました。

 ベトナム工場が新型コロナ・デルタ変異株のまん延で閉鎖したことで、サプライチェーンに乱れが生じています。同社は製品の30%をベトナムから調達しています。

 第3四半期のEPSは予想1.32ドルに対し新ガイダンス1.33~1.38ドルが、売上高予想13.2億ドルに対し新ガイダンス14億~14.3億ドルが提示されました。

 2022年度のEPSは予想6.90ドルに対し新ガイダンス7.38~7.48ドルが、売上高予想59.8億ドルに対し新ガイダンス61.9億~62.6億ドルが提示されました。

米国小売業の決算2:トーリッド(CURV)

 トーリッド(CURV)はプラスサイズ、つまり少しふくよかな女性のためのアパレルに特化している専門店です。同社の第2四半期(7月期)決算もよい内容でした。

 EPSは予想13セントに対し36セント、売上高は予想2.9億ドルに対し3.33億ドル、売上高成長率は前年同期比+34%でした。

 既存店売上比較は+30%でした。1回当たりのトランザクション金額が増えました。

 グロスマージンは45.0%でした。前年同期は32.1%でした。グロスマージン改善の理由は値引きセールを控えたためです。

 純利益は3,880万ドル(前年同期は1,680万ドル)でした。

 修正EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は前年同期比+153%の8,650万ドル(前年同期は3,420万ドル)でした。

 グローバル・サプライチェーンの状況は悪いです。その関係で在庫は理想より▲10%前後少なめになっています。

 ただ同社は他の小売業者と違い、1年を通じて安定した売り上げがあるので、クリスマス商戦期間への依存度は低いです。またたくさんのアイテムを扱っている関係で、一部の商品が売り切れても他の商品に来店客を誘導しやすいのです。

 それらの理由から、サプライチェーンの問題は他社ほど影響を受けないと思われます。

 ギャップ(GPS)の「OLD NAVY」がプラスサイズの市場に参入する件に関しては、サイズ10~30の女性は全米に9,000万人おり、市場の規模自体が大きいことに加えて、このセグメントはとてもアンダー・サーブされている関係で、競合他社の参入は同社のビジネスにほとんど影響しないと思われます。

 また「OLD NAVY」のプライスポイントは低すぎて、トーリッドの得意客が要求するような高い機能性を、安物の服では提供できない場合が多いのです。

 次に価格戦略ですが、トーリッドは、これまでも何度か値上げを繰り返してきました。消費者は自分が支払った値段に見合うだけの品質と満足を届けているブランドに対しては値上げに寛容です。

 今後も同社は得意客の期待に応えつつ、相応分の値上げをしていく考えです。

 第3四半期の売上高は予想2.9億ドルに対し新ガイダンス3.0億~3.15億ドルが提示されました。

 2021年度の売上高は予想12.6億ドルに対し新ガイダンス12.9億~13.1億ドルが提示されました。