テーパリングの次の材料は?

 9月から12月まで、実質的には2カ月半ですが、テーパリングの具体的なスケジュールが見えない限り方向感は出にくく、当面は米雇用統計や物価に一喜一憂する相場が続きそうです。

 また、テーパリングの具体的な道筋が見えても、これだけ何カ月も話題になっていると、その頃にはかなり織り込まれている可能性もあります。金融引き締めの次の段階である利上げが材料にならないと、多少は動いても大きく動かないかもしれません。

 しかし、その利上げもまだまだ先の話となりそうです。2014年のテーパリングの際は、テーパリングが開始してから終了まで10カ月。テーパリング終了から利上げ開始まで14カ月かかっています。つまり、テーパリング開始から利上げまで約2年かかっていることになります。

 パウエル議長は「テーパリングは利上げ時期を示す直接的なシグナルではない」と強調しましたが、2014年のスケジュール感を現在にあてはめてみると、もし、今年の12月にテーパリングが始まるのなら、利上げは2年後の2023年12月ということになります。しかし、2023年の利上げを材料にして相場が動くのはかなり無理がありそうです。

 このようにテーパリングも材料として織り込まれつつあり、利上げはまだ先の話となると、ドル/円を取り巻く環境は変わらないため動きづらい相場が続きそうです。

 日本銀行やECB(欧州中央銀行)との金融政策の違いが相場を動かす、というシナリオも想定されますが、これまでのところあまり相場に影響を与えていません。しかし、留意しておく必要はあります。

 また、テーパリングの具体的なスケジュールが見え始めた時に、FRBの正常化への動きが新興国に影響を与えるかもしれないという点も留意しておく必要があります。

 米国内では、いよいよ9月から本格的に対面授業の学校が再開されます。しかし、すでに一部の小学校で教師から生徒に感染が広がったことが報告されており、学校再開がスムーズに保護者のBack to workにつながるのかどうか注目です。

 デルタ株が急増しているため、子供達の通学を敬遠する保護者が増えたり、マスク着用義務を拒む保護者が増えたりすると、職場復帰が遅れ、雇用回復ペースが鈍くなる可能性が出てきます。

 日本でも今週から2学期が始まりますが、分散登校や小学校でもオンライン授業を実施するところが多く、感染対策をかなり意識した慎重なスタートとなるようです。ハッサクも小学生や園児との接触機会が多いため、この一年半のコロナ禍で最も心配しながらの生活が始まりそうです。