テーパリング年内開始のスケジュール・シナリオ

 パウエル議長だけでなく、ほとんどのFOMC参加者が納得しているテーパリングの「年内開始適切」とのスケジュール感とはどのようなものでしょうか。

 FOMCは年内3回あります。9月21~22日、11月2~3日、12月14~15日の3回です。年内開始のためには、タカ派、ハト派によって多少タイミングのずれはありますが、想定シナリオは絞られてきます。

(1) 9月3日の米雇用統計(8月雇用)を受け、9月FOMCでテーパリング開始告示、11月開始

(2) 10月8日の米雇用統計(9月雇用)を受け、11月の開始告示、12月開始

(3) 可能性として、開始告示と開始を同時に行うシナリオ。9月に告示・開始、11月に告示・開始あるいは、12月3日の米雇用統計(11月雇用)までみて、12月に告示・開始

などのシナリオが想定されます。

 今週3日発表の8月雇用統計は(1)のシナリオとして注目度が高まります。かなりよい数字が発表されれば期待は高まりますが、パウエル議長も懸念しているデルタ株の影響は、8月雇用にも影響している可能性があり、シナリオの可能性としては低いように思われます。

 やはり、9月に学校の対面授業が再開し、保護者が仕事に戻れる9月分雇用、あるいは追加失業給付が9月に終了し、復職が反映される9月分雇用をみて判断する(2)のシナリオの方が(1)よりも可能性が高そうです。

 10月分雇用は11月5日に発表のため、11月FOMC(11月2~3日)には間に合いません。10月分雇用を確認してから判断となると、12月のFOMCで判断、ということになります。その場合、通常であれば、12月開始告示、来年2022年1月に開始ということになりますが、年内開始が適切というのであれば、(3)のシナリオの可能性が高まってきます。