大人気の投資信託をもとに、積立とはなにかを考える

 積立投資の効率を最大化するための条件は、2つあります。「効率的に数量を増やすこと」、そして「効率的に収益化すること」です。そして、これらの条件を満たすためには、価格が「今は低位安定」そして「最後に上昇」することが必要です。

 この意味では、「今」、派手に急上昇している銘柄を、「長期を前提とした積立投資」のために選ぶことは得策とは言えません。

「数量を効率的に増やすこと」に必要な「今は低位安定」に反するだけでなく、「増やした数量を効率的に収益化すること」に必要な「最後に上昇」の実現難易度が高くなるためです。

 派手に上昇している銘柄は耳目を引くため、資産形成の第一歩(とっかかり)としては良いかもしれません。しかし、それはあくまでも第一歩です。その銘柄を未来永劫、保有し続けることは避けなければならないと、筆者は思います。

 派手な上昇が未来永劫続くのか? という問いに対し、続く、と答える専門家は少ないでしょう。相場には波があるためです。

 どの市場も一様に派手な動きをした古き良き時代を経験した人の中には、続くと答える人はいるかもしれませんが、2000年代も20年以上経過した今、あの頃の常識は通用しないと考えるべきです。

 世の中がコロナ禍入りしたことをきっかけに積立投資を始めた方の中で、米国の株価指数に連動することを目指した投資信託のみを積み立てている方は特に、そろそろ積立をする対象を見直してもよいように思います。(スポット投資・都度投資ではなく)

 今回は、大人気投資信託の、「新型コロナショック」直後の2020年4月から2021年8月までの基準価額と、その逆(1万円を基準に試算)の推移をもとに考えられる、積立投資の鉄則、そして今後、有望とみられる積立ができる銘柄について述べます。

 本レポートでは「積立」を扱います。都度投資(スポット投資)は対象外です。

図:都度投資と積立投資(筆者イメージ)

出所:筆者作成