プラチナ相場は今後、積立の鉄則「最後に上昇」が見られるかもしれない

 以下は、プラチナ市場の今後の想定されるテーマです。EV(電気自動車)の台頭により、プラチナの主要需要である自動車の排ガス浄化装置向け需要の減少が減少する可能性がありますが、多くの先進国が目指す、「脱炭素」のあるべき姿の一つ、「水素社会」が実現した場合、グリーン水素の生成装置向けやFCV(燃料電池車)の発電装置向けなどの、これまでになかった新しい需要が増加する可能性があります。

 こうした、「脱炭素」という、もはや不可逆的と言える世界共通のテーマと強く関連する可能性を秘めたプラチナの価格は、超長期的に見て、反発する方向に向かう可能性があると、筆者はみています。この点は、「積立」における、「最後に上昇」に大きく貢献する可能性があります。

図:プラチナ市場の今後のテーマ

出所:筆者作成

「積立」になじむ要素がそろっているプラチナ。その他「積立」をするメリット複数

 以下は、現在考えられる、プラチナを「積立」の対象とするメリットです。

図:現在考えられるプラチナ積立のメリット

出所:筆者作成

 積立の鉄則と言える「今は低位安定(効率よく保有数量を増やす要素)」と「最後に上昇(効率よく収益化する要素)」の両方を、現在のプラチナ市場に見出すことができるでしょう。

 また、本レポートで述べてきたプラチナ積立は投資信託ではないため、繰上償還のリスクがありません。また、当社でも行うことができる現物の引き出しサービスを念頭に置けば、何かあった時に、積み立てたプラチナを現物にして引き出すことも可能です。

 超長期のプロジェクトである資産形成で重要なことは、「続ける」ことであることは、言うまでもありません。

 例えば、毎月の積立額を無理のない範囲にすることや、相場が急変してもゴールを見据える心を持ち続ける(モチベーションを維持する)ことなどが、「続ける」ために必要な要素と言えるでしょう。

 このような要素以外に、「金融商品の堅牢性」もまた、「続ける」ために必要な要素だと言えます。

 投資信託のリスクの一つとされる「繰上償還」は、信託期間が無期限の投資信託が運用を終了すること、あるいは、期限前に投資信託が運用を終了することです。※「償還」とは、債券や投資信託が満期(期限)を迎え、投資家にお金を返還することです。

 通常、投資信託の約款には、信託期限の有無にかかわらず、途中で償還できる旨が明記されています。

 繰上償還の条件はさまざまですが、当該投資信託の残存口数が当初定めた基準以下になって想定した運用が困難になった、マイナス金利などで運用が難しくなった、連動を目指す指数が廃止された、などが挙げられます。

「繰上償還」になると保有口数に応じた額が換金され、運用が終了してしまいます。「繰上償還」は「続ける」を損ねる、超長期の資産形成という個人の一大プロジェクトの妨げになる要因と言えます。プラチナの「積立」には、このようなリスクはありません。