日経平均の上値を抑える2つの不安

 にもかかわらず、日経平均は上値の重い展開が続いています。日経平均の上値を抑える要因として、2つの不安があります。

【1】日本の景気回復がさらに遅れる懸念
【2】世界景気が来年減速する懸念

  以下、2つの不安について、もう少し詳しく説明します。

【1】コロナ変異株の感染が一段と拡大。1日の感染者が2万人を超える
 国内の新型コロナ新規感染者数は8月14日には2万人を超えました。感染力の強いデルタ株の感染が急拡大しています。8月31日までとなっている緊急事態宣言が解除できるかどうか、不透明となってきました。これで、日本の内需回復がさらに遅れる懸念が強まりました。

【2】好調の米景気も来年には減速へ。世界景気が来年減速(失速?)する懸念
 米景気は足元とても好調ですが、それはコロナからの回復でリベンジ消費が盛り上がる中、巨額の財政出動も出ていることによります。ただ、今のような好調はいつまでも持続可能ではないと見られています。リベンジ消費は一時的で、そのうち一巡すると考えられます。

 米国とともに、世界景気回復をけん引してきた中国景気も、足元やや減速感が出ています。東南アジア経済にも、ブレーキがかかりつつあります。日本と同様、欧米に遅れて今になって感染が拡大している影響が出ています。

 ワクチン接種が進んでいる欧米も含め、世界全体で、新型コロナ・デルタ株の感染が急拡大していることも、世界景気に悪影響を及ぼす可能性が懸念され始めています。これらの懸念を総合して、来年は世界景気が減速すると見られています。減速で済むのか、失速と言われるほど悪化するのか、見極めが必要となっています。