ジャクソンホール後に株価が大きく動く可能性も

 さらに、今週は米国で「ジャクソンホール会合」(米カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム)が週末にかけての26日(木)から28日(土)にかけて開催されます。

 足元の米国株市場は、「FRB(米連邦準備制度理事会)がテーパリング(量的緩和縮小)をいつ始めるか?」という観測で、株価が上下しているため、同会合で予定されているパウエルFRB議長の講演に注目が集まっています。

 ジャクソンホール後に株価が大きく動く可能性もありますので、最後に米国株市場の状況についても確認したいと思います。

(図5)米NYダウ(日足)とMACD(2021年8月20日終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNYダウは、週初の16日(月)に最高値を更新した後、売りに押される展開となりました。5日移動平均線に上値が抑えられたり、25日移動平均線を下抜ける場面があったり、MACDがシグナルを下抜けたりしているものの、3万5,000ドル台の高値圏を維持しています。

 ここ数週間の米国株市場を見ても、主要株価指数(NYダウ・S&P500・NASDAQ)がそろって高値圏での推移を保っているわけですが、バイデン政権のインフラ投資計画の前進や、過度なインフレ懸念の後退、小売り企業決算への期待などが好材料になったかと思えば、米経済指標でさえないものが増えはじめ、経済急回復の一服感や新型コロナの影響、中国の景気減速や、タリバンが国土を制圧したアフガニスタン情勢などの地政学的リスクの高まりなどの悪材料も併存しています。

 こうして見ると、株価がもう少し上下に動いてもおかしくはないのですが、実際には目立った株価の「調整」も「爆上げ」もないまま上昇基調を描いています。

 日々の株価の上げ下げは、材料を織り込んでいるというよりは、バリュー株やグロース株、ディフェンシブ株、金融株などの循環物色の口実となっている面があり、「多少の材料にもブレない堅調な相場」と見ることができる一方、「楽観ムード優位でリスクに無関心な相場」という見方もできます。

 とはいえ、材料に鈍感な相場は、いずれやって来る調整局面のサインを読みにくいことでもあり、厄介と言えます。米国株については強気の見方が依然として多いですが、だからこそ、今週のイベントが米国株市場の潮目が変化するきっかけになるかもしれず、注意が必要かもしれません。