日本株は今、買いの好機か?

 このように、日足チャートからみた日本株は下向きへの意識を強めていると言えます。では、現在の株安局面は買いの好機となるのでしょうか?

 実際に、先週末時点の予想PER(株価収益倍率)は、日経平均で12.59倍、TOPIXで14.83倍と、過去の推移から見て比較的割安水準であると同時に、米国株(S&P500の約22倍)と比べても出遅れ感があります。

 ただし、足元の日本株は、新型コロナウイルスの影が相場の重石となっています。国内の感染者拡大や、海外諸国と比べて劣後するコロナ対応力に加え、先週はトヨタが、半導体不足とアジアでの感染状況の影響によるサプライチェーンの滞りを理由に、9月の世界生産を4割削減すると発表したことで、景気や企業業績への警戒感が高まり、株価下落の要因となりました。

「割安感と出遅れ感の修正による日本株買い」というシナリオは、まだ健在ではあるものの、直近で増えてきた不安要素によって、もう少し下値を探る展開も考えられるため、「いったん見送る」のが無難かもしれません。

 想定が外れて日本株が上方向に向かったとしても、積み上がった信用残などの需給要因が、戻り待ち売り圧力として存在していることもあり、慌てなくても買いのチャンスは今後も訪れると思われます。

 また、目先の日経平均の値動きの目安としては、25日移動平均線乖離(かいり)率のボリンジャーバンドの各ラインが参考になりそうです(下の図3)。

(図3)日経平均の移動平均線乖離率(25日)のボリンジャーバンド

出所:MARKETSPEEDⅡのデータを元に筆者作成

 その中でも、下値として強く意識されそうなのは▲1σ(シグマ)あたりです。

 20日(金)時点で計算した株価は2万6,925円なのですが、2万7,000円台の節目割れで買いが入りやすいことや、昨年10月30日から今年2月16日にかけての上昇幅に対する「半値押し」の株価水準(2万6,831円)に近いことがその理由です(下の図4)。中長期的なスタンスであれば、打診買いもアリかと思われます。

(図4)日経平均の押し目水準

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成