パッシブの普及にも一役買ったDC

 ここまで手数料の話を中心に見てきましたが、DCの運用の多くは、パッシブ型運用のファンドが占めています。これはこの20年で大きく広がったインデックス運用の流れを先行して形作ったといえます。

 投資といえば、アクティブ運用が花形です。しかし、2000年に達する頃には企業年金運用でもパッシブコアの運用戦略がスタンダードなものとなっていました。企業型のDCでは、企業年金運用の経験を踏まえて、インデックスファンドを中心に商品ラインアップが構成されてきました。

 実際、日本株のインデックスファンドでは、一般に受ける日経平均(225種)よりTOPIX(東証株価指数)をベンチマークとしたファンドのほうに残高が集まっています。

 運営管理機関連絡協議会の統計資料によれば、アセットクラスごとの累計でアクティブが上回るものは一つもなく、唯一、国内株でのみアクティブが46%のシェアを持ちます。それ以外は77~88%をインデックス運用が占めており、「パッシブ運用を中心に行われるもの」という基本トレンドがあります。

 インデックスをベンチマークにおいたパッシブ運用が日本の個人に根付いたきっかけをつくったのは、DCがもたらした大きな変化といえるでしょう。