7月雇用統計への米株市場の初期反応

 また、米7月雇用統計後の、米株市場の初期反応についても確認していきます。

■(図5)米NYダウ(日足)とボリンジャーバンド(2021年8月6日終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

■(図6)米S&P500(日足)とボリンジャーバンド(2021年8月6日終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

■(図7)米NASDAQ(日足)とボリンジャーバンド(2021年8月6日終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 米雇用統計を受けた米株市場は、NYダウ平均株価とS&P500が最高値を更新、NASDAQがやや売られる反応となりました。

 米雇用統計の結果を具体的に見ていくと、非農業部門雇用者数が前月比で94.3万人増と、市場予想(84.5万人増)以上となりました。労働市場が順調に回復し、足元で懸念されていた景気減速懸念が後退し、「確かに、最近になって新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっているが、中長期的な景気回復の見通しは変わらない」というシナリオを再確認したと思われます。

 金融や素材、資本財などの景気敏感株が買われてNYダウやS&P500が上昇する一方、景気回復観測を受けた米長期金利が一時1.30%台まで上昇したことで、相対的な割高感が意識されたハイテク株を中心とするNASDAQが売られる格好となりました。とはいえ、NASDAQも相場が崩れるほどの下落にはなっていません。

 米国の決算シーズンはすでにピークを越えていますが、今週は百度(BIDU)をはじめ、網易有道(DAO)フツ・ホールディングス(FUTU)ニオ(NIO)ネットイーズ(NTES)捜狗(SOGO)愛奇芸(IQ)迅雷網絡(XNET)など、米国市場に上場している中国企業の決算が予定されています。

 決算の内容にもよりますが、すでに中国関連銘柄は売られているものが多く、悪材料出尽くしによる反発となるか、それとも中国リスク警戒の継続となるか、中国絡みによる株式市場の変動は米国株市場でも必要かもしれません。

 また、日本株が米国株の流れに乗れるかどうかも焦点になりますが、新型コロナウイルスの感染拡大が顕著なアジア地域では、工場が操業停止に追い込まれるところが出始めるなど、サプライチェーン(供給網)のボトルネックが懸念されているため、事態の長期化には注意が必要です。

 そのため、今週の日本株は出遅れ修正からある程度の買い戻しは期待できるものの、本格的な買い上がりにつなげられるにはまだ時間がかかるかもしれません。

※次週8月16日(月)のテクニカル風林火山は休載となります。