注目の中国株2:上海復星医薬(02196)

 中国を代表する企業家の郭広昌氏が会長を務める復星国際(00656)の中核企業で医薬品の製造を手掛けています。2020年12月期の部門別売上高は、製薬が72.1%、医療機器、医療診断が17.3%、医療サービスが10.5%、医薬品小売・卸売が0.1%です。

 2020年12月期は6.2%増収、10.3%増益でした。製薬部門はコロナ禍のため、特に前半は不振でした。一方、医療機器、医療診断部門は新型コロナ検査試薬、救急医療器具、呼吸器などの売り上げが急増しました。そのため、全体でも増収増益を確保できました。2021年1-3月期は昨年の反動、新商品の寄与から、37.0%増収、46.8%増益となりました。

 同社に注目する最大の理由は中国最大規模の製薬メーカーでありながら、現在もアグレッシブな経営を続けている点です。

 2020年3月、ドイツのバイオ医薬ベンチャーでアメリカ・ファイザー社とも共同開発を行っているビオンテック社とmRNAワクチンの研究、中国大陸、香港マカオ地区の独占販売契約を結んでいます。

 2021年1月には香港特別行政区でのmRNAワクチン緊急使用の認可を得ており、5月にはビオンテック社と合弁会社を設立、mRNAワクチンの本土での製造を目指すと発表しました。

 また、7月11日にはTSMC、鴻海精密工業、永齢基金会へのmRNAワクチン販売契約を結んでいます。自社に開発力がなければ有力な海外企業と組んで素早く事業化する、こうした機動的な経営力を評価したいと思います。

注目の中国株3:中国生物製薬(01177)

 民営の大手製薬メーカーです。抗がん剤、肝臓病治療薬、整形外科用薬をはじめ、抗感染薬、呼吸器系薬などを幅広く製造しています。売上高(2020年12月期)が1億元(17億円)を超える製品が46種、10億元(170億円)を超える製品が5種あるなど、中国を代表する製薬会社の一つです。

 2020年12月期は2.4%減収、0.3%増益となりました。新型コロナ禍のために病院に通院する患者数が大幅に減少、さらに病院が制度に沿って集中的に医薬品を買い上げる際の入札価格が大幅に下がったこともあり、業績はやや厳しいものとなりました。

 ただ、2021年1-3月期は病院での診療活動が回復、医薬品集中買い上げ入札価格は安定し、新薬の貢献もあって、16.4%増収、118.5%増益となりました。

 新型コロナワクチンに関しては、北京科興中維生物技術(シノバック)に5億1,500万ドル(約567億円)を投資、15%の株式を取得する形で開発に参加しています。

 シノバックは不活化ワクチンを開発しています。2021年2月には中国から条件付きで使用許可が下りています。

 海外についてはインドネシア、ブラジル、チリでは1月、フィリピンでは2月、エジプトでは4月、ネパール、バングラデシュでは6月にそれぞれ緊急使用許可が下りています。WHOでも6月に緊急使用を承認しています。

 投資評価益の形ではありますが今後、業績への貢献が期待できそうです。