新型コロナウイルス発生のナゾ:米中で陰謀論が渦巻く?

 新型コロナウイルスについては釈然としないことがたくさんあります。その起源ですが、現地に専門家グループを派遣し調査した結果、動物から中間宿主を通じて人に感染したとの仮説が最も有力だとWHO(世界保健機関)は今年3月に発表しています。

 そして、武漢ウイルス研究所から流出したとの説については、極めて可能性が低いとほぼ否定しており、起源論争に決着がついたかに見えました。

 それなのにバイデン米大統領は5月、武漢ウイルス研究所からの流出説を含めて新型コロナの起源に関して追加調査するよう情報機関に指示しています。

 武漢ウイルス研究所から流出したとする説について、トランプ前大統領は2020年4月の段階でそれを主張しました。理由として、同研究所のセキュリティー対策に問題があるというようなことを言っていますが、それはすでに、流行が起こる数年前から米国と武漢ウイルス研究所の間に人的交流があったことを示しています。

 遺伝子組み換えなどの最先端技術は米国が最も進んでいて、中国の研究者たちの多くは米国に留学し、その技術を学んでいます。また、米国国立衛生研究所による研究助成プログラムによる資金が、武漢ウイルス研究所に提供されていた可能性が米国で指摘されています。両国の間で、表に出しにくいことを以前から秘密裏に共同研究していた可能性も否定できません。

 こうした情報を前提として推測すると、武漢ウイルス研究所の内部に米国情報機関の内通者がいて、実際にトランプ前大統領やバイデン大統領が指摘するように、研究所内部で不手際が生じてウイルスが誤って流出しており、それを知った内通者が米国に伝えた可能性があります。しかし、米中関係の悪化を考えれば、米国に悪意があった可能性も否定できません。

 この問題について、中国外務省は度々その見解を披露しています。

 4月8日の記者会見において趙立堅報道官は、ショッキングなことを言っています。日米のマスコミが全く報じていないことですが、米国が中国に対して再調査を迫ることに対する反発として、米国のフォート・デトリック基地やウクライナなどの海外で展開している生物軍事化活動について情報公開を強く求めています。米国だけが「生物兵器禁止条約」で検査メカニズムを作ることに反対していると非難しています。

 もし仮に、新型コロナウイルスが何らかの人為的な遺伝子操作がなされた結果、誕生したのだとすれば、人類にとって非常に危険なものになるかもしれません。現時点では毒性は低くとも、本来自然界に存在しないだけに変異が早かったり、毒性が急に高まるかもしれません。

 さらに空想(?)を先に飛ばせば、もし仮に、生物兵器を使った戦争が差し迫っているとすればどうでしょうか。