香港株式相場はやや低調な動き
ここ1カ月の香港株式相場はやや低調な動きとなりました。
2021年1月以降の主要株価指数の動き
香港ハンセン指数は6月25日、3月以来の高値に迫る水準まで上昇したのですが、そこから急落、7月9日には年初来安値(場中ベース)を記録しました。その後は戻り歩調にありますが、上値は少し重いようです。
中国民営企業の米国上場、何が問題だったのか?
6月30日にニューヨーク市場に上場したばかりの滴滴出行(DIDI)ですが、7月4日、個人情報の収集に関して“インターネット安全法”で定める規定に著しく違反しているとして、中国当局からアプリの新規ダウンロードの停止を命じられたことから、ハイテク企業全体への管理強化が嫌気されました。
共産党中央委員会弁公庁、国務院弁公庁は6日、「証券違法活動を法に基づき厳しく打ち据えることに関する意見」を発表しました。
証券取引に関するいろいろな違法行為に厳しく対処するといった内容ですが、その中には海外上場に関する違法行為についても厳しく対処することが盛り込まれていました。それで投資家は動揺したのです。
中国民営企業の上場の仕方が問題となっています。
民営企業では、IPO(新規株式公開)の主幹事を務める欧米系の投資銀行が、VIE(変動持ち分事業体)と呼ばれるスキームを用いて、企業リストラを行った上で上場します。
まず、本社を租税回避地など本土以外に設置します。その上で新しく創る上場会社と本土の実質的な事業資産(企業)との関係を資本関係ではなく、テクニカルな契約関係として処理します。このようにして作られた企業であれば欧米の法制度上、中国政府からの管理を受けないで済むことになります。
中国当局としては当然、おもしろくありませんが、自ら積極的にグローバリゼーションを進めようとしています。欧米がいうところのグローバルスタンダードの法解釈を黙認してきたのはそのためです。
しかし、米国政府は昨年12月、外国企業説明責任法を成立させました。米国に上場する中国企業に対する監査を強化し、中国企業を排除しようとしています。ならば譲歩することはありません。新法によって海外上場企業に情報漏えいのリスクが出てくる以上、本土企業と同等か、それ以上に厳しく管理すべきだということになります。