退職の翌年は「住民税」に要注意

 スポーツ選手が引退の翌年、多額の住民税負担に苦しんだ、といったニュースを聞いたことはありませんか。

 所得税と異なり、住民税は今年の分が翌年に課税されます。そのため、今年は現役で収入があるけれど、翌年は引退していて収入がないにもかかわらず、住民税の負担は翌年にかかってきます。その分のお金を使わずに確保しておかないと、住民税が払えない…ということになりかねないのです。

 FIREの場合も同様で、退職した翌年に、退職した年の分の住民税が課税されます。もし、ここまで貯めてきたお金をもとにFIRE生活を送ろうとしていた場合、退職した翌年に支払う住民税のことが頭に入っていないと、想定外の支出となってしまい、いきなりFIRE生活がつまずくことになりかねません。

 FIRE生活をスタートさせる前に、翌年払う必要がある住民税の金額を把握し、その支出が発生することをあらかじめ知っておきましょう。

退職後は国民年金保険料や国民健康保険料がかかる

 もう一つ、国民年金保険料や国民健康保険料の負担についても理解しておく必要があります。

 これらは厳密には税金ではありませんが、自治体によっては国民健康保険「税」と呼ばれているところもあり、税金に近い性質を持つものです。少なくとも、税金と同様「コスト」としてとらえれば重要性は同じといえます。

 会社に勤めているときは、厚生年金保険料や健康保険料を、給料から天引きされる形で支払います。

 これが、FIREにより会社を退職して、新たに会社に属さない形になった場合は、厚生年金保険料ではなく国民年金保険料を、健康保険料ではなく国民健康保険料を支払うことになります。

 例えば令和3年度の国民年金保険料は月当たり1万6,610円です。年間だと19万9,320円の負担となります。国民健康保険料は所得により異なりますが、所得が多ければ数十万円以上の納付が必要となることもあります。