原油上昇は、短期的に日本の企業業績にプラス

 日本は、原油など資源の輸入国です。本来なら、原油価格の上昇は、日本の景気・企業業績にマイナスのはずです。ところが、原油が急ピッチで上昇した場合は、事情が異なります。短期的には、資源の輸入国である日本の企業業績に、原油価格の上昇がプラス影響を及ぼします。

 原油上昇がなぜ、原油の輸入国である日本の企業業績にプラスになるのでしょう。それは、主に在庫の影響によるものです。原油が急上昇した時、日本には以下の2つのプラス影響が及びます。

【1】資源事業にプラス影響

 海外に資源権益を有する大手総合商社・非鉄などで、利益が拡大します。

【2】在庫評価益

 石油精製業では70日分の原油備蓄が義務づけられています。安値で仕入れた在庫を持ったまま、石油製品の価格が上昇するため、巨額の在庫評価益が発生しました。原油だけでなく、鉄鋼石・石炭・銅・ニッケルなどの資源価格がいっせいに上昇していますので、非鉄・石油化学など素材産業全般で、安値で仕入れた在庫が業績を押し上げる要因となります。

 これから本格化する4-6月決算で、原油など資源価格上昇の恩恵を受ける総合商社・化学・石油・鉄鋼・非鉄産業は業績好調が予想されます。ただし、半導体不足の影響で生産が停滞する自動車産業の業績モメンタムが低下している懸念もあります。決算発表に注目です。