止まらない原油上昇、投機筋の買いが影響?

 WTI原油先物の上昇が続いています。世界景気回復にともなう需要回復によって上昇しているのですが、中東・ロシアなどに潜在的な供給余力が残っていることを考えると、1バレル70ドル台への上昇は、やや行き過ぎとの見方もあります。

WTI原油先物の動き:2018年12月末~2021年7月9日

出所:QUICKより作成

 コロナ・ショックが起こった直後の2020年4月には、需要急減で行き場のない原油が投げ売りされる不安から、WTI原油先物(5月限)は一時史上初のマイナス価格となりました。大口取引価格がマイナスとなった事実はないのですが、投機筋の買い建てがたまっていた原油先物は、4月20日にマイナス37.6ドルをつけました。

 あれから1年3カ月たちました。今度は、原油先物の上昇が止まらないことが驚かれています。私は、ここでも投機筋の動きが影響していると思います。金融商品として原油に投資するマネーが世界中で膨張しているため、実需で説明できる範囲を超えて、原油先物が上昇している可能性があると思っています。