人と違うということが価値になる?

奥野さん 
そうだよ。今でこそバフェットの投資手法は世界中で浸透しているけど、実はアメリカでも数十年前に売ったり買ったりという投機的な株式取引がもてはやされた時代があって、そのときはバフェットが提唱する長期投資は見向きもされなかった。

もちろん、みんなバフェットの投資手法がよいということは分かっていたんだけど、時代がそうさせなかったというのかな。でも、バフェットは多数派に回ることなく、自身の意志を貫き通した。

シノちゃん 
すごく自分を信じていた人なのね。

 

奥野さん そうだね。だから、シノちゃんにも周りに流されることなく、「人と違う」という価値観を大切にしてほしいんだ。

日本は学校教育でも同調性を求められることが多いけど、ひとたび海外に出ると、人と違うということがどれだけ大切なことかが分かるよ。

特に、多民族国家のアメリカやイギリスでは、自分を主張できないと埋もれてしまうからね。主張しないことは、そこにいないことと同じ。シノちゃんは…海外に行っても大丈夫そうだね(笑)。

シノちゃん そうね! 今も幼稚園で自分の意見はハッキリ言うようにしているわよ。海外でも「シノ流」を貫くためには、まず英語をしっかり勉強しないとね!

あ、でも…人と違うことをするっていうことは、みんなと同じ投資をしていてはダメってこと?

奥野さん シノちゃん、鋭いね! 究極的にはそうだね。多くの人が株式を売っているときに買わないと市場では勝てない。

だからといって、あまのじゃく的に少数派に回ればよいかというと、それはちょっと違う。大切なのは意志と自分なりの原則を持って、それを貫くということ。

僕の場合、「構造的に強靭な企業®」への投資を愚直に実践してきた。それが投資家さんに認められて、農林中金バリューインベストメンツという一つの会社にできた。CIOを務める今の会社は、自分の子どものように大切に思っているよ。

シノちゃん 奥野さん、お仕事についてお話しするとき目がキラキラしてる! 私も、学校に入ったら、やりたい仕事を見つけなくちゃ!

奥野さん シノちゃん、仕事っていうのは、「何をやるか」ではなく「どう働くか」の方が重要だよ。