ホントに知ってる? 社会やケイザイのこと? なんとなく知っているはずなのに、質問されると、大人でもうまく説明できないケイザイのコト、幼稚園児でも世の中を知っているシノちゃんが教えます。

ウォーレン・バフェットと、シノちゃんの共通点?

 最近、お母さんが開設してくれたジュニアNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で、インデックスファンドを買ってみたシノちゃん。

 農林中金バリューインベストメンツCIO(最高投資責任者)の奥野一成さんからお話を聞くうちに、お金の投資だけでなく、自己投資にもがぜん、意欲が湧いてきたシノちゃん(5さい)。しっかり者のシノちゃんは、自分の将来のことも、投資先についても自分で納得して決めたいようです。

前編「投資のことをイチから教えて!」はこちら
中編「正しい投資ってあるの?」はこちら
≫後編「バフェット流の投資心得って?」

奥野さん
シノちゃんの「自分が分からないものには投資したくない」という考え方は、まさに「投資の神様」ウォーレン・バフェットと一緒だよ! さすがだね、シノちゃん!

シノちゃん
えー!? 私、神様と同じなの? 奥野さん、そんなにおだてても何も出てこないわよ! バフェットさんって確か、世界の有名な会社にたくさん投資をしている人よね?

奥野さん そうだよ。さすがシノちゃん、バフェットも知っているんだね。

ウォーレン・バフェットは、御年90歳にして今も現役の投資家で、バークシャー・ハサウェイという巨大な投資会社を率いている経営者であり、世界中で多額の寄付を行っている慈善家でもあるよ。

バフェットは、強いブランドを持つ会社を永続的に保有する長期投資家として知られていて、コカ・コーラ、アップル、アメックスなど、競争優位性の高さで他社を圧倒している「すごい会社」にしか投資をしないんだ。

あと、自分がよく理解できない会社には投資しないという点でも徹底している。

もちろん、永続的といっても、ただ長く保有するだけでなく、見切りをつけることだってある。常に会社とそのビジネスが生み出す価値に目を光らせているんだ。だから、日々刻々と変化する株価の値動きは気にしない。株価を予想するのではなく、会社の価値を見極めることに専念した結果、長年にわたってリターンを出し続けることができているんだよ。

シノちゃん 奥野さん、一気にしゃべったね。バフェットさんのこと、好きなんだね。

ところで、「会社の価値を見極める」って、どこかで聞いたと思ったら…奥野さんじゃないの! そうか! バフェットさんは、奥野さんのお手本になっているのね。

人と違うということが価値になる?

奥野さん 
そうだよ。今でこそバフェットの投資手法は世界中で浸透しているけど、実はアメリカでも数十年前に売ったり買ったりという投機的な株式取引がもてはやされた時代があって、そのときはバフェットが提唱する長期投資は見向きもされなかった。

もちろん、みんなバフェットの投資手法がよいということは分かっていたんだけど、時代がそうさせなかったというのかな。でも、バフェットは多数派に回ることなく、自身の意志を貫き通した。

シノちゃん 
すごく自分を信じていた人なのね。

 

奥野さん そうだね。だから、シノちゃんにも周りに流されることなく、「人と違う」という価値観を大切にしてほしいんだ。

日本は学校教育でも同調性を求められることが多いけど、ひとたび海外に出ると、人と違うということがどれだけ大切なことかが分かるよ。

特に、多民族国家のアメリカやイギリスでは、自分を主張できないと埋もれてしまうからね。主張しないことは、そこにいないことと同じ。シノちゃんは…海外に行っても大丈夫そうだね(笑)。

シノちゃん そうね! 今も幼稚園で自分の意見はハッキリ言うようにしているわよ。海外でも「シノ流」を貫くためには、まず英語をしっかり勉強しないとね!

あ、でも…人と違うことをするっていうことは、みんなと同じ投資をしていてはダメってこと?

奥野さん シノちゃん、鋭いね! 究極的にはそうだね。多くの人が株式を売っているときに買わないと市場では勝てない。

だからといって、あまのじゃく的に少数派に回ればよいかというと、それはちょっと違う。大切なのは意志と自分なりの原則を持って、それを貫くということ。

僕の場合、「構造的に強靭な企業®」への投資を愚直に実践してきた。それが投資家さんに認められて、農林中金バリューインベストメンツという一つの会社にできた。CIOを務める今の会社は、自分の子どものように大切に思っているよ。

シノちゃん 奥野さん、お仕事についてお話しするとき目がキラキラしてる! 私も、学校に入ったら、やりたい仕事を見つけなくちゃ!

奥野さん シノちゃん、仕事っていうのは、「何をやるか」ではなく「どう働くか」の方が重要だよ。

「何をやるか」ではなく「どう働くか」?

シノちゃん 
ん? どういうこと? やりたい仕事があったら、一生懸命働けると思うけど。 

 

奥野さん 
まあまあ、あせらないで。僕は、人を喜ばせたい、人の価値になるような働き方をしたい、チームで協力しながら何かを成し遂げたいという思いがあって、それが結果として今の仕事につながっている。

 だから、「絶対にファンドマネジャーになる!」とか「投資家になる!」と思っていたわけじゃないんだ。

シノちゃん えー。…でも、大人になって会社に入ると、自分が希望しない部署に異動になったり、やりたくない仕事を任されたりすることもあるのよね…? そうなったら、一生懸命働けないし、嫌になっちゃって辞めちゃうかも。

奥野さん もしかしたら、そういうこともあるかもしれない。

でもね、シノちゃん。自分がやりたい仕事ができないからといって、すぐに辞めてしまうのは、とてももったいないことだよ。

そもそも、会社や組織というのは、社会のあらゆる問題を解決するために存在しているんだ。そうした問題解決の一端を担うために、自分がどう実力をつけて、どんな価値を生み出すことができるかを考えることの方が重要だよ。

シノちゃん 実力をつける時間が必要なのね。

奥野さん あとね、人間は短期的にデメリットに目が行きやすい生き物なんだ。だから、「希望しない部署に配属になった」とか、「やりたい仕事を任せてもらえない」という事実には、とてつもなくストレスを感じてしまうんだね。

その半面、そのメリットに気づくのには時間がかかるんだ。「つまらないなぁ」「しんどいなぁ」と思っていた仕事を「あぁ、あのしんどさの本当の意味はこれなんだ!」ってことに気付くのは、きっと後になってからなんだ。

実は、これは投資も同じだよ。長期投資のメリットはすぐには見えないけど、短期的に株価が上昇したり下落したりすると、どうしてもそこに目が行ってしまうんだ。

シノちゃん なるほど…働き方とか人生観に対する考え方も投資につながっているのね。

あ、気がついたらもうこんな時間! なんか投資のことだけじゃなくて、私の人生相談みたいになっちゃった。

でも、奥野さんにお話を聞いて、投資に対する考え方が変わった気がする! またお話を聞きに来てもいい?

奥野さん もちろん! いつでも来ていいよ。今度はシノちゃんの好きなお菓子、用意しておこうかな。

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