値上がり率ランキング(5銘柄)

1 シキノハイテック(6614・ジャスダック)

 今年のIPO銘柄で、セカンダリー上昇率の現状ナンバーワン。同社は、本社を富山県魚津市に置き、3月24日にジャスダックへ上場しました。車載用半導体部品の検査装置などを手掛ける半導体関連銘柄です。

 半導体需給のひっ迫が世界的にフォーカスされる中での上場ということもあり、時流に乗る格好で信じられないほど上場後に値上がり。グロース系ベンチャー企業が人気化する傾向のあったIPOの世界で、同社が最高パフォーマンスに…これが、その後の日本電解などが人気化する布石になったといえるでしょう。

 公開価格は390円で、公開規模が5.5億円と小さかったこともあって初値は3.1倍の1,221円。半導体株物色の追い風と、高値更新による需給妙味が相まって、仕手株化したような値動きが極まった24日に一時5,240円を付けました。

 この日に公開価格から見た“テンバガー(10倍株)”を達成…これで、出尽くし感が広がったのか、ストップ高(5,240円)した当日にストップ安(3,835円)で終了という、ド派手な値動きを見せました。

2 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 前月発表した本決算時に、今期の増益と復配発表で急騰。ただ、バリュエーションの高いAI関連銘柄だけに、業績材料での株高は続かず…。そんななかで、6月中旬から立て続けに発表された材料で株価は変貌。同社のようなグロース株は、現実的な決算数値より、将来を期待させる材料に勝るものはないようで。

 同社が発表した材料は3つ。14日に発表したのが、複雑なネットワーク上での株主間の影響力を解析する「株主支配ネットワーク解析ソリューション」の提供開始。続いて22日には、創薬支援AIに関する特許査定の取得。

 そして28日には、AIエンジン「KIBIT」を活用した営業通話解析が一部国内証券に採用されたとの発表でした。株価に上昇モメンタムが付いてきた状態で、週イチペースで材料を提供できたことが驚き。

3 セルソース(4880・東証マザーズ)

 時価総額1,000億円級の新興株でいえば、6月ダントツの上昇率を記録したのがセルソース。中小型グロース株の日本株ファンドで、ポートフォリオ上位に同社を入れているファンドが多いことでも知られています。

 上場来高値を更新し、時価総額1,000億円台に乗せるきっかけとなったのは、14日発表の今期予想の上方修正でした。今2021年10月期の売上高予想を前期比52%増の28億円(従来予想は25.3億円)、営業利益予想を同83%増の7.6億円(従来予想は5.7億円)に増額。

 再生医療の拡大で、提携医療機関数が想定以上に増えたことのようです。バリュエーションは高いですが、同業他社の存在しないオンリーワン系グロース株。株価に勢いが付けば、青天井な雰囲気が広がりやすい銘柄といえます。

4 3Dマトリックス(7777・ジャスダック)

 止血剤に関する材料で株価が噴き上がりました。材料が出たのは、月末も差し迫った28日の引け後。米子会社の止血剤が米FDA(食品医薬品局)から承認を受けたと発表。米子会社が米マサチューセッツ工科大学からライセンスを受けた技術で開発してきた止血剤で、内視鏡的手術・処置への適応などで承認を受けたようです。

 手前の流動性が極めて低かった株価300円台の低位株に、個人の短期資金が大挙。1日の出来高で30万株程度だった銘柄が、ピークの30日は2,114万株もできたわけで…強烈な需給ギャップで、発表後わずか2営業日で最大4割の値上がりとなりました。

5 オプトエレクトロニクス(6664・ジャスダック)

 バーコードリーダーを手掛けるジャスダックの小型バリュー株。前期の赤字から一転、今期は黒字予想だったのですが、24日に今2021年11月期の大幅上方修正を発表しました。今期の最終損益予想を、従来の2.5億円黒字から7.2億円の黒字に大幅増額。欧州やアジアでバーコードリーダーの需要が想定より好調だったようです。

 また、コロナ関連での特需もある様子。米国でハンディスキャナーが売れたのは、コロナの検査装置の付属機器に採用されたことが理由とのこと。コロナ関連でいえば日本でも、コロナワクチンの接種券読み取り用としてハンディスキャナーの需要が伸びる可能性も。上方修正で大きく上昇しましたが、今なお予想PER6倍台、PBR(株価純資産倍率)0.9倍台の小型バリュー株な水準です。