売買代金ランキング(5銘柄)

1 シンバイオ(4582・ジャスダック)

 目下、マーケットで人気ナンバーワンのバイオ株。エーザイから自社販売に移行した海外事業の売上インパクトが大きく、今期黒字転換が見込まれる創薬ベンチャーです。

 また、中外製薬の再発・難治性リンパ腫向け治療薬との併用療法で同社の抗悪性腫瘍剤「トレアキシン」の使用が可能になること、同社が独占的開発・製造・販売権を取得している米キメリックス社の抗ウイルス薬の日本における特許取得など株価材料も豊富。

 月初から、マザーズに需給悪化銘柄も多く、新興株好きの短期マネーが集結するような雰囲気に。7日には1日の売買代金が430億円という驚異的な商いも記録しました。

 ただ、個人の信用買いが中心だったようで、東証が9日から信用規制をかけるとしたことで一度調整。その信用規制も、29日から解除されると発表され、また上昇。高水準の信用買い残を積みながら高値圏をキープできているため、需給的にはまだ悪くないといえます。

2 プレミアアンチエイジング(4934・東証マザーズ)

 マザーズ大型では前月のベストパフォーマーで、5月末に上場来高値を付けていた人気株。知名度、流動性とも高めた状態での発表に注目されたのが、14日の第3四半期決算でした。

 発表された第3四半期決算は、「DUO」「CANADEL」など主力ブランドが好調で、売上高が237.6億円、営業利益が44.2億円に。営業利益の通期計画は44億円ですので、第3四半期で超過する好決算でした。

 ただ、翌15日の株価は前日比14%安に。好決算が確実視され先に買われていたこともありますが、決算発表をまたいだ投資家の中には「大幅な上方修正」「値がさ株だけに株式分割」「化粧品株だけに株主優待」などさまざまな期待が込められていたようで、典型的な一旦出尽くし。

 これまでの上昇の反動が出る形で、5月末終値(1万6,800円)を26%下回る1万2,430円(21日安値)まで突っ込む場面もありました。とはいえ、今回見送られた上方修正や分割、優待といった材料。この先に発現可能性のある期待材料として残した意味で、楽しみの先送りとも言えそうですが…。

3 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 しばらく上値が重く、マザーズ指数の重石にもなってきた指数ウエートトップ(6月末時点では11.6%)のメルカリ。それが6月は、マザーズ指数を月間で1.6%も押し上げた救世主的存在になりました。月間上昇率13.7%は今年最大。

 きっかけは、23日に発表した今期予想の上方修正でした。従来の営業損益予想は「15億円赤字~15億円黒字」とレンジで提示していましたが、今回の新予想は「45億円黒字」。

 国内メルカリの好調のほか、メルペイの定額払い利用が増加したことで収益力が増強されたようです。アナリスト予想も従来予想の上限15億円黒字程度だったため、ポジティブサプライズ。

 この週のマザーズの投資主体別売買動向を見ると、最も買い越しだったのが外国人(差引55億円買い越し)でした。メルカリ上方修正を受け、予想以上に好反応を示したメルカリ株の上値を買い上げたのは外国人だった、という解釈で合っているはずです。

4 フェローテック(6890・ジャスダック)

 2日に、今2022年3月期の業績上方修正を発表。最終利益が従来予想の45億円を上回る123億円(前期比67%増)を見込むとしました。理由は、半導体ウエハーの持分法適用会社が第三者割当増資を実施し、第1四半期に持分変動利益が発生するため。

 特殊要因のため反応は限られるかと見られていましたが、翌日からの株価反応はすさまじく…月間で28.6%高。1996年の上場来、何度も2,900円台ではね返されてきた株価でしたが、ついに3,000円の節目超えに成功。

 シキノハイテックやオキサイドなど半導体関連の新興株人気も相まって、強いモメンタムが生まれました。これだけ上昇しても、増益モメンタムも強く、予想PER(株価収益率)で見ればいまだ10倍前後です。

5 フリー(4478・東証マザーズ)

 マザーズはプレミアアンチエイジング、ジャスダックはシンバイオ、そして6月後半は直近IPO株…そうした銘柄に短期マネーが集まるなか、薄商いが続くのがマザーズ時価総額2位のフリー。

 閑散に売りなしめいた展開で、気付けば株価は2カ月ぶりの1万円台を回復していた印象。月間上昇率も23.5%と今年最大。メルカリと一緒に、マザーズ指数を押し上げました。

 薄商いでしたが、随所に材料もありました。18日は、一部外資系証券がビジネスソリューションセクターとして、東証1部のOBCとマザーズの同社の2社を新規カバレッジ。同社の投資判断は「ニュートラル」(目標株価9,000円)ですが、双方とも市場拡大のスピードを上回る売上成長継続を見込むと。

 また、22日には法人向けのクレジットカード事業に参入すると発表。独自の与信モデルで、クレジットカードの限度額が少ないスタートアップ企業をターゲットにするようです。