不安増・株高時は金とプラチナの「二刀流」も一計か。積立でもETFでも先物でも可能

 先述の「図:金とプラチナのテーマ」で示したとおり、金価格もプラチナ価格も、一つの材料だけで動いていません。複数の材料を「鳥の目」で俯瞰することが重要であり、俯瞰をする際、複数の材料の影響力が相殺し合っていることを意識することが重要だと述べました。

 その意味では、金における「不安の増幅」という、資金の逃避先需要を増加させる「有事のムード」も、プラチナにおける「株高」という、産業用需要の割合が全需要のおよそ6割を占めるプラチナの需要増加期待増幅要因も、複数ある材料の一つに過ぎません。

 とはいえ、仮に、先述のワクチン接種率の推移からうかがい知れた、日本の個人投資家の皆様が「今後も一定の不安を抱えながら、株価上昇の恩恵を享受する」可能性が現実のものとなった場合、金市場では「有事のムード」の影響力が、プラチナ市場では「株高」の影響力が、それぞれの市場の他の材料の影響力に比べて大きくなると、考えられます。

 こうなれば、「有事のムード」主導で金価格が、「株高」主導でプラチナ価格が上昇する可能性が出てきます。つまり、アメリカと日本のワクチン接種率の格差が拡大している状況が長引けば長引くほど、「金高」「プラチナ高」の同時進行も長引くのではないか、ということです。

図:金とプラチナの価格推移 単位:円/グラム 

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

「金高」「プラチナ高」が起きているときに考えられ得る投資戦略は、金とプラチナの両方を同時に保有する「二刀流」です。当然、金もプラチナもリスクがある投資商品です。双方が下落した場合、片方のみ保有していた場合に比べ、リスクが大きくなる場合があるため、なんとなくで、多額の資金を投じることは論外です。

 事前に、投じる資金の額や投資をする期間を熟慮し、ワクチン接種率の格差を含めた各種材料を俯瞰し、今この手法が最適かどうかを、総合的に慎重に判断しなければなりません。

 もし仮に、条件が整ったと判断し、一定のルールのもと、少額でこの金とプラチナの「二刀流」を行ってみたいと考えた場合、具体的にどのような銘柄を候補にすればよいでしょうか。「積立」「ETF」「先物」いずれにも、金とプラチナが存在します。取引ルールをそろえるため、同じカテゴリ内で検討するのがよいと思われます。

図:金・プラチナなどの具体的な投資商品 ※2021年6月28日(月)時点

出所:楽天証券のサービス内容をもとに筆者作成

 くれぐれも投資は自己責任で行うことが前提であることをお忘れなきよう、お願いいたします。

 [参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

 楽天証券の純金積立「金・プラチナ取引」はこちらからご参照ください。

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)

商品CFD(金・銀)