「鳥の目」で見たほうが、面白い。しかもイメージと価格動向の不整合に苛まれない

 なぜ「虫の目」を捨て、「鳥の目」で見なければならないのでしょうか? それは、「現代の」金相場に関わる材料が年々多層化し、分析の際、一度に複数の材料を考慮し、それらの影響力を相殺することが求められているためです。

「鳥の目」で見る、とは具体的にどういうことでしょうか? それは、「1.複数の材料が同時に金相場に作用していること」、「2.それらが影響力を相殺しながら、連続的に一つの価格が決まっていること」の2つを意識することです。

 これを聞いて「最近の金相場は難しくなってしまったんですね」と述べた人がいました。単純だった(単純すぎた)数十年前に比べて難しくなったことは事実でしょう。しかし、「鳥の目」で見たほうが断然、現代の金相場の動向を説明しやすく、市場と向き合うことが面白くなります。何より、イメージと価格の不整合に苛まれなくなります。

 複数の材料とは、金の場合、短・中期的には「有事のムード(資金の逃避先需要)」「代替資産(株の代わり)」「代替通貨(ドルの代わり)」の3つです。中長期的にはこれらに「中央銀行の金保有」「鉱山会社の動向」を含めるとよいと思います。プラチナの場合、短・中期的には「金価格の動向」「株価の動向」の2つです。中長期的にはこれらに「脱炭素の動向」「鉱山会社の動向」を含めるとよいと思います。

図:金とプラチナのテーマ

出所:筆者作成