米景気は「ほどよい湯加減」?
5月の米雇用統計では、米雇用の回復が市場の期待ほど早くなく、FRBが早期にテーパリングを迫られる可能性は低いと解釈されました。
【1】 4~5月の雇用増加は市場期待を下回っている
コロナショックで大幅に減少して雇用が、順調に回復しつつありますが、市場の期待よりは回復ピッチが遅くなっています。
米雇用統計・非農業部門雇用者増加数(前月比):2019年1月~2021年5月
【2】完全失業率は5.9%
5月の完全失業率は5.9%でした。順調に低下しつつありますが、それでもコロナの影響が出る前の2020年2月の3.5%と比べると、まだ高い水準です。
米雇用統計・完全失業率:2014年1月~2021年5月
想定より弱かった雇用統計を受けて、米長期金利は1.45%へ低下しました。
米長期金利推移:2020年1月2日~2021年6月11日
雇用統計だけから判断するならば、米景気が過熱して長期金利が上昇し、FRBが早期にテーパリングを迫られるリスクは低下したと考えられます。
ただし、以下の通り、ISM景況指数はコロナ前の水準を超えており、米景気が過熱する懸念が消えたと判断するのは早計です。
米ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2021年5月
5月の製造業景況指数は61.2とコロナ前で世界景気が好調だった2018年の水準まで戻っています。5月の非製造業景況指数は64.0まで上昇し、コロナ前の水準を超えています。