※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]日経平均膠着 「三角もち合い」煮詰まる 次のサプライズ待ち」
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日経平均は2万9,000円前後で膠着
先週(6月7日~11日)の日経平均株価は1週間で7円上がり、2万8,948円となりました。2万9,000円前後で膠着しています。
日経平均日足:2020年11月1日~2021年6月11日
日本の景気回復が遅れる懸念が出ていますが、それでも米国・中国景気好調の恩恵を受けて、いずれ日本の景気回復も鮮明になるとの期待があることから、日経平均の下値は堅くなってきました。
一方、米景気が過熱し、FRB(米連邦準備制度理事会)がテーパリング(金融緩和の縮小)の議論を始めなくてはならなくなる不安が、上値を抑えています。
上記の日足チャートを見ると、日経平均は2万9,000円を中心とした「三角もち合い」を形成しつつあることがわかります。そのもち合いの収束点が近づいていると見ることもできます。何らかのポジティブ(良い)またはネガティブ(悪い)サプライズ(驚き)があれば、日経平均は上または下へ放れる可能性のある状態です。
米景気の先行きを見極めることが重要です。米景気が過熱することなく巡航速度の拡大が今年・来年と続くならば株式市場にとってポジティブで、日米とも株価上昇がさらに続くことが期待されます。
ただし、米景気が一気に過熱して来年は反動で失速するとの見通しが強まると、世界の株式市場にとってネガティブサプライズとなります。
米景気は「ほどよい湯加減」?
5月の米雇用統計では、米雇用の回復が市場の期待ほど早くなく、FRBが早期にテーパリングを迫られる可能性は低いと解釈されました。
【1】 4~5月の雇用増加は市場期待を下回っている
コロナショックで大幅に減少して雇用が、順調に回復しつつありますが、市場の期待よりは回復ピッチが遅くなっています。
米雇用統計・非農業部門雇用者増加数(前月比):2019年1月~2021年5月
【2】完全失業率は5.9%
5月の完全失業率は5.9%でした。順調に低下しつつありますが、それでもコロナの影響が出る前の2020年2月の3.5%と比べると、まだ高い水準です。
米雇用統計・完全失業率:2014年1月~2021年5月
想定より弱かった雇用統計を受けて、米長期金利は1.45%へ低下しました。
米長期金利推移:2020年1月2日~2021年6月11日
雇用統計だけから判断するならば、米景気が過熱して長期金利が上昇し、FRBが早期にテーパリングを迫られるリスクは低下したと考えられます。
ただし、以下の通り、ISM景況指数はコロナ前の水準を超えており、米景気が過熱する懸念が消えたと判断するのは早計です。
米ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2021年5月
5月の製造業景況指数は61.2とコロナ前で世界景気が好調だった2018年の水準まで戻っています。5月の非製造業景況指数は64.0まで上昇し、コロナ前の水準を超えています。
外国人投資家は様子見
なんらかのサプライズが起こって、日経平均が上放れ、または下放れする場合、需給面で主導するのは外国人投資家と考えられます。
今のところ、外国人投資家の日本株売買は方向が定まらず、外国人も材料待ちで様子見していると考えらえられます。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2021年6月11日(外国人売買動向は6月4日まで)
日本株は景気敏感バリュー株「買い場」の判断を継続
結論はこれまでお伝えしてきたことと同じです。日本株では、景気敏感バリュー株が買い場の判断を継続します。
世界景気の回復色がこれからさらに強まると考えられますが、米景気がすぐに過熱してFRBが早期にテーパリングを迫られるリスクは現時点で高くないと判断しています。
米景気が過熱するリスクに注意しつつ、割安な日本の景気敏感バリュー株には、今、積極的に投資していきたいと判断しています。
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