「脱炭素」起因の下落圧力は、足元の諸上昇要因が相殺か

「フォルクスワーゲン問題」発覚時と同様の連想が働く中で、プラチナ相場が上昇しているのは、プラチナ市場にこの連想起因の下落圧力を相殺して余りあるだけの、上昇圧力がかかっているためだと考えられます。

 上昇圧力は、主要国の金融緩和やそれによる株高をきっかけとした景気回復期待でプラチナの産業用需要が回復する期待が高まっていること、金融緩和をきっかけとした「代替通貨」需要増加や新型コロナ感染拡大による「有事のムード」の高まりなどで金(ゴールド)価格が上昇していることなどによって、もたらされていると考えられます。

図:新型コロナショック(2020年3月)以降のプラチナ市場の環境

出所:筆者作成

「フォルクスワーゲン問題」発覚時と同様の連想によって生じている下落圧力を、「金融緩和」「株高」「金高」などの複数経路からの上昇圧力が、相殺していると考えられます。

 足元のプラチナ価格の上昇を説明する際、各材料がもたらす影響度を足したり引いたりする必要があるわけです。