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日経平均乱高下でどう動いた?日本株億トレーダー対談!

 日経平均株価が4万円を突破し、バブル経済以降34年ぶりに最高値を更新、その後、3万円台に揺れ戻るなど、日本株投資家に期待と試練が訪れています。今回は低迷期にも心折れず長年日本株投資を続けてきた個人投資家のDAIBOUCHOUさん、www9945さんにご登場いただきました。

 お二人は少ない元手で投資を始めさまざまな上昇・下落を体験された「億り人」のリーダー的存在。バブル崩壊からこれまでの34年間を振り返りつつ、個人投資家は何をチェックし、何に備えて、どう動けばいいのかをご意見を伺います。

長い低迷期、翻弄(ほんろう)されながらも学んだことは大きい

トウシル:まず、長く続いた日本株の低迷期をお二人はどのように乗り越えてきたのでしょうか。

DAIBOUCHOUさん:私は2000年のITバブル絶頂期に株式投資を始めました。その後の株式相場は、ITバブルの崩壊、リーマンショックなどの影響もあり、日経平均株価は長く低迷してしまいました。株式チャートを見ると、アベノミクス相場をきっかけに上昇に転じていますが、私の印象では、長い低迷をようやく脱して上昇相場に転換したという感じですね。

各種資料よりトウシル編集部作成

www9945さん:日本株の相場が一番ひどかったのは、ITバブルが崩壊してずるずる値下がりした2年半…2000年~2003年3月の、日経平均株価8,000円割れあたりまでですね。この時期は本当に痛い思いをしました。資産は半分に減りました。

 コロナショックの2020年3月~2023年3月のマスク解禁までの3年間も厳しかった…。私の投資手法は、東京・池袋の街角ウオッチをして、いろいろなお店の新陳代謝や気づきを銘柄の購入判断に反映させるというものなのですが、コロナの3年間は街が死んでいたので、確信を持って保有することはできませんでした。

DAIBOUCHOUさん:コロナショックでは半月ほどの短期間で相場が暴落しました。このような短期間の下げ相場を暴落相場と思ってしまうと間違いで、ITバブル崩壊やリーマンショックでは2年くらい、下げ相場が続きました。

 そこで私が心がけていたのは、暴落の初期段階で、あわてて買い増しやナンピンをすると、さらなる暴落に見舞われる可能性があるということです。さらなる暴落に見舞われて意気消沈して投げ売りをしたら、そこが大底だったみたいなことが起こります。暴落相場には「人の苦しみを増幅させる効果」があって、底知れない怖さがありますね。

www9945さん:そうですね。コロナショックでは相場が25日間下がり続けました。値下がり率は約30%。短期間で大きく値下がりするという、深くて速い相場で、しかもリバウンドする期間がわずか2日という短さ。

 ずっと下がっていたので、損失を抑えるための逃げ場がなかった。ITバブル崩壊やリーマンショックでは、大きなリバウンドの期間が3~5回ほどあったので逃げることができたのですが、コロナショックでは10年ぶりに「食らったな」という感じですね。

DAIBOUCHOUさん:ITバブル崩壊とリーマンショックの違いは、1999年に光通信やソフトバンク、ヤフーが大きく値上がりして、暴落したという相場でした。つまり暴落銘柄が局所的だったのです。リーマンショックは全ての銘柄が投げ売りされた感じです。

 J-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)のような本来ディフェンシブで固い銘柄でさえ暴落に巻き込まれました。その違いも注目点ですね。

www9945さん:リーマンショックの時は、朝に信用で買うと、すぐに8%、10%下がって、翌日に投げざるを得ない。長期投資をしたいのに1泊2日の投資になってしまった。そういうとんでもないことが毎日起こっていました。異常だったなと思います。

急騰に沸いた日本株、二人はこう動いた

トウシル:今回の上昇相場は、上がり始めてからの勢いが強くて、短期間でこれだけ上げたことは過去においても珍しいと思います。4万円を超えるような日経平均株価の急騰を予測されていましたか?

www9945さん:私は、ここまで短期間で急騰するとは予測していなかったです。

 1月から新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が始まることと、アメリカと中国の新冷戦により日本に投資資金が来そうだなとは思っていたのですが、テクニカル的には8カ月続いたもみ合いが3万3,700円~3万3,850円くらいを超えたら買いというシグナルだったので、先物取引がうまい人は、そこでたくさん買っていましたね。

 私は先物をやらないので、現物とか信用で買っていただけなのですが、1月下旬までは去年の整理―返済売りや信用買いのクロス取引をしていました。

DAIBOUCHOUさん:私は去年(2023年)が2割、3割上がったいい相場だったので、2024年は調整に入ると予測し、年末にプラス7%、3万6,000円くらいというイメージでした。まさか去年よりも強い相場が今年来るとは思わず、想定外でしたね。ただ4万円はいずれ超えるとは思っていました。

 株価は基本右肩上がりなので、低迷が続いていた今までの相場がおかしかったのです。ただ、今年、こんなに早く4万円を突破するとは思わなかった。

トウシル:今年の日本株急騰の背景について、どのように分析していますか?

www9945さん:完全なる外国人投資家主導だと思います。先ほどお話しした、もみ合いの上放れというテクニカル的なこと、地政学的には日本が、西側諸国を含むアメリカの同盟国だということ。ミクロでは台湾のTSMCが熊本に半導体工場を建設するなど、局地的ではありますが、好景気に沸いていることなどが要因といえそうです。

 今のような外国人投資家主導の相場は、時価総額5,000億円以上の企業、時価総額の中央値も平均1兆円以上でないと、全然値上がりせず、モメンタムが取れない(上値を追う順張りができない)状況になっています。

 オールカントリー(全世界)に投資する、現在の投資手法の中で、日本株が占める割合は5~6%くらいのウエートになっています。その中でアクティブ投資家が日本株の急騰のアルファ(市場平均に対する超過リターン)を取るために買いを入れれば入れるほど値上がりしてしまいます。それに加えてオイルマネーも少し動いたという観測もありますね。

DAIBOUCHOUさん:私はこの急騰を「メイドインジャパン」の復活の結果と捉えています。TSMCの熊本工場が代表例ですが、日本政府は手厚い補助金を用意して海外の企業を誘致しています。さらにアメリカは、製造拠点となっている中国がやはり信用できないということで、同盟国の日本に中国に代わる製造能力を求めている。

 例えばアメリカの港湾施設が、中国企業を経由した情報流出を警戒し、中国製クレーンに頼らず、三井E&S(のアメリカ子会社)がアメリカでクレーンを生産すると方向転換した、という話がありました。アメリカにとって、日本は信用できる同盟国だというメリットを享受できていて、ものづくりや生産設備関連銘柄が上がりやすい傾向なのかなと思います。

トウシル:低迷期を乗り越えて大きなチャンスが到来した4月ですが、この時期に売った銘柄、買った銘柄と、その理由を教えてください。

www9945さん:買った銘柄はサンリオ(8136)大黒天物産(2791)です。私はBtoC銘柄を得意としているのですが、サンリオは去年のマスク解禁以降、IP(知的財産)コラボが池袋で花盛りになったのです。それを見てサンリオを買いました。

 ハローキティはコラボの範囲が幅広くなって、「ちいかわ×キティ」とか、東京都福祉局の「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」に任命されたり、卓上食塩などともコラボするなど、実に積極的に他企業と協業を展開しています。

 2020年に社長交代があり若返ったことだし(92歳の創業社長が31歳の孫に社長の座を継承させた)、オンリーワンという位置付けもいいかなと思って買いました。

 大黒天物産は、ディスカウントストアなどを運営しています。食品や日用品、燃料代などの物価は、インフレや円安の影響により、体感で、昨年比で15%程度値上がりしています。

 この物価高に直撃されているのが、都市部の不動産や株式などのインフレ資産を持たない人たち。特に低収入層です。だからスーパーの半額セールの時間を待って買っているのですが、大黒天の店はいつでも商品が安い。たこ焼き100円、弁当198円……。

 それでいて業務スーパーを運営する神戸物産のようにPER(株価収益率)40倍のように高すぎることもなく、28倍くらいです。その連想で、3月に上場したディスカウントストアを運営するトライアルホールディングス(141A)も買い増しました。

 一方で、売った銘柄は、LINEヤフー(4689)エス・エム・エス(2175)です。そもそもLINEヤフーを買った理由は、PayPayが黒字化したことや中間層の消費拡大が見込めたことでしたが、顧客名簿の漏えいに絡み、総務省から行政指導を受けるといったことが起こり、コンプラ面で企業的にどうなのかな…と不信感があり、損切りしました。

 エス・エム・エスは20年連続増収増益なのですが、PERが約30倍前後と高め。グロースで中型株なので、時価総額的に2,000億~3,000億円です。今の地合では、先ほど話したように5,000億円とか1兆円のバリューが買われているので、グロースで中型株は買われないのです。

 これは資金効率を考えて薄利で利食って、他のバリュー株や大型株に乗り換えるために撤退しました。

DAIBOUCHOUさん:4月に買った銘柄は、霞ヶ関キャピタル(3498)三井E&S(7003)三井海洋開発(6269)です。共通するのはボラティリティが激しい、景気敏感、インフレで恩恵を受ける銘柄であるということ。パフォーマンス向上のために買い増ししました。

 売った銘柄は、テクノスジャパン(3666)ウェルネット(2428)という手堅いけれど良くも悪くも安定している銘柄です。代金決済などのソリューションを提供するウェルネットは、決済がらみの事業の競争が激しく、成長が鈍化していると感じたからです。

 テクノスジャパンは、SAP社のERP(統合基幹業務システム)の更新需要を期待して買ったのですが、そろそろ更新需要も一段落するかなと思って売りました。

 ある程度業績も伸びたし、株価もある程度の水準を達成したのでいったん売却しました。売却の大きな理由は、霞ヶ関キャピタルなどを信用取引で買い増ししたら信用ポジションが膨らみすぎて、何かを売らなければいけなくなったので「渋々売った」という感じです。今の相場は現金に限りがなければどんどん買いたい状況ですね。

 霞ヶ関キャピタルは不動産のパイプラインがものすごくあって成功報酬が期待できる。三井E&Sと三井海洋開発の造船セクターは非常に業績がいい。三井海洋開発は海底に眠る原油を掘削するFPSO(浮体式生産設備)という船をデザイン・オペレーションする会社です。脱炭素と言いながらも原油の需要は高まるばかりですから。

揺れる日本株、ポートフォリオ内での使い方

トウシル:新NISAが始まり、初心者の方も多くいらっしゃいます。世間的には投資信託、それも「オールカントリー一択」という雰囲気が強くて、個別銘柄まで意識が向いていないようですが、ポートフォリオの中に日本株を入れるとき、どのように使うといいのでしょうか。

 日本株の存在意義や活用方法についてご意見をお聞かせください。

DAIBOUCHOUさん:私は金融資産のうち、日本の個別株が99%を占めています。それくらい日本の個別株に優位性がある思っています。その理由は、私が日本人であり、今現在も日本に住んでいて日本企業の情報が集めやすいという点があります。

 加えて、いい株が割安に放置されているんです。日本株は必ずしもファンダメンタルズで売買されないし、短期的な決算で右往左往する傾向もある。だから1年後、2年後の成長を見据えて長目に投資するとチャンスがたくさんあると思っています。

 しかも、日本株のオフ会で、日本株仲間と情報交換したり、交流することはすごく楽しいですよ。株仲間をつくるツールとして日本個別株を勉強して投資に挑戦することはいいことです。

 投資信託だと、いまいち話題が広がらないけれど、個別株は株価が毎日変わるし、決算は3カ月に1回発表されるし、話題には事欠きません。大阪にもオフ会仲間がいるのですが、オフ会で得た情報で新幹線代以上にもうかったりします。

www9945さん:確かに、DAIBOUCHOUさんはどこに行ってもよく会いますよね(笑)。初心者の方が投資信託、しかもオールカントリーを中心に投資をしている理由としては、やはり株やマーケットが「分からない」という理由がメインなのだと思います。

 ただ、相場の上昇と共に、投資詐欺が激増するので、「分からない」ものに手を出すのは厳禁です。ぜひ新NISA参入組の方は、警戒していただきたいです。

 ただ、オールカントリーを否定するわけではなく、個別株を、オールカントリーの補助的な使い方ができると思います。

 メインは投資信託でコツコツ積み立てて、自分が住んでいる地域のドラッグストアの株を買って、優待と配当を家計の足しにして長く保有するとか、日本マクドナルドホールディングス(2702)を買って優待食事券をもらうとか。分かる、楽しい、というとっかかりを作って日本株に挑戦し、徐々に慣れていくのがいいと思います。

急落時、やるべきことと、やってはいけないこと

トウシル:急騰があれば急落の可能性も捨てきれません。まさに今、株価が乱高下していて、焦りが募るタイミングですが、日本株投資家が今から備えておくこと、心構え、市場の見方のアドバイスをお願いします。

www9945さん:今は10年くらい、押し目を作りながら上昇相場が続いていますが、いつかはどーんと下がるときがある。一番肝に銘じてほしいことは、マネーマネジメント、つまり、お金の管理ですね。「何円まで上がったら売る」など、自分で決めたルールは順守すべき。

 根拠のない希望で持ちっぱなしにしてしまい、打つ手もなしにずるずる落ちるというのが一番いけません。自分が設定した損切りラインに達してマイナスになったら、寄り付きでぶん投げてください。ひどい気配でも投げられれば、投資の中級以上ですね。

 相場が弱くなると、株式の流動性が枯渇して、売りたくても売れなくなる。情ではなく数字で、きっぱりと売り逃げてください。

DAIBOUCHOUさん:暴落を心配するとキャッシュに逃げがちなのですが、上昇相場ならば、踏ん張ってしっかり利益を出していきましょう。その利益を蓄えて暴落に備えるのがいいと思います。

 私自身はフルポジ(フルポジション。現金を全て株式に投資している状態)で、さらに信用取引で建玉を増やすというちょっと攻めたスタイルに今なっているのですが、それができるのは、上昇相場でしっかり利益を稼げているからだと思います。

 24年間の株取引の経験から言って、暴落を予測して逃げ切ることははっきり言って無理(笑)。今の資産が3割くらい下がっても継続できるようなポートフォリオを組むこと。暴落しても信頼できる企業の株を持つことが大事だと思います。

 ただ、私のような専業投資家と違い、サラリーマン投資家の方は資産が減っても給料が入るので株の資産が減っても生活はできるはずです。目先の損に焦りすぎてろうばい売りしてしまうと、得られる学びも少ないと思います。

www9945さん:急騰時は、まずは落ち着いて市場をよく見ましょう。他がうなぎ上りでも、全然株価が動かない、盲点的な銘柄もあるので、企業業績も併せて信頼できる根拠があれば、それを買っていくのもいいですよね。

 今は、外国人投資家によって時価総額の大きい銘柄が先行して買われて、半導体、造船、銀行などの大型株が上昇をけん引したのですが、今後は、中小型株へその波紋が広がっていくと思います。今から拾える有望銘柄はまだあります。間に合いますよ。

DAIBOUCHOUさん:出遅れている銘柄、上がっているけれどまだ割安の銘柄を買っていくのは確かに同意です。全く放置されている銘柄も探せば必ずありますから。勤務先や趣味など、その人の知識や経験が生きるセクター内で、割安株を探していくという方法がいいと思いますよ。

 3月決算の会社は5月に決算発表をしますが、そこをぜひ注視してほしいです。2024年初頭は、業績が上向きの会社が多いので、2025年3月期の業績予想を強めに出していて、PERが割安な銘柄をぜひ探してみてください。

トウシル:乱高下している今こそ、慌てずに落ち着いてマーケットを見ていれば、信頼できる割安銘柄を探すチャンスもある、ということですね。本日はありがとうございました。