(1)投資配分は「内外株式、50%対50%」でいいのか

 コストの安いインデックスファンドに投資するとして、どのようなインデックスファンドに、どのような資金配分で投資するかは、毎回迷うテーマだ。

 筆者は、過去10数年に亘って、「外国株式50%+国内株式50%」と提示することもあれば、「外国株式60%+国内株式40%」と提示することもあった。どちらも、国内の大型年金基金などの運用計画の期待リターンとリスクの数字を参考に決めた。

 大まかに言うと、「外国株式」と「国内株式」の期待リターンは、概ねリスクフリー金利+5〜6%くらいで、外国株式がやや高い事が多く、リスクは20%程度だが外国株の方がやや大きい事が多い。日本の年金基金も日本の個人投資家も、主に将来支出するのは日本円の現金相当の資産であることが多く、リスクは「日本円の現金」から測るのが妥当なので、世界の株式時価総額に占める日本株の比率よりも国内株式の比率が高くなるのが、リスク・リターンの計算上からは妥当だ。

 但し、特に近年、外国株式と国内株式のリターンの連動性が高まっていて、分散投資の効果が小さくなっている。

 例えば、以下の3つの選択肢は、大きな差がないし、どれがいいとも決めがたい。

(A)外国株式50%+国内株式50%
(B)外国株式60%+国内株式40%
(C)先進国株式40%+新興国株式10%+国内株式50%
(D)全世界株式(含む日本)100%

 筆者が最近作ったムック本では(A)を採用した。今回は、公的年金の基本ポートフォリオの株式部分を真似て(内外株式半々)、債券部分(外債+国内債)を個人向け国債(変動10年)に「改良」した(低金利なので固定利付債は要らないし、外債には余計な為替リスクがある)。

 いっそのこと(D)がシンプルでいいと思わなくもないのだが、「将来の支出は円建て」ということを考えると、今のところそこまで踏み切っていない。

 尚、巷間、米国株100%(例えばS&P500のインデックスファンド100%)でも、米国の多国籍企業は世界でビジネスを展開しているので、いいのではないか、という意見があるが、これには賛成しない。過去長い期間米国の株式と経済が好調なのは確かだが、これが将来も続くと確信できるほどの材料はないし、原則論として、分散投資の機会は広い方がいい。また、米国の年金基金などの機関投資家が、過去の「米国株+米国債」ほぼ100%から、国際分散投資を拡大してきた歴史がある。

(2)リスク資産(=インデックスファンド投資)の大きさの決め方

 投資家にとっては、幾らの大きさでインデックスファンドに投資するのかが最も重要な決定だろう。この点に関しては、最初期の「ほったらかし投資術」と基本的に大きな違いはない。「1年後に、最悪の場合3分の1くらい損をする一方で、同じくらいの確率で4割くらい儲かる事があり得て、平均的には年率5%くらいのリターンがある資産を幾ら持ちたい?」。時期により、本によって、書き方に差はあるが、基本的にはこのように自問して決めようという方法論は変わっていない。

 補足的には、例えば想定される損失額を評価する際に「360」(老後を30年とした場合の総月数である)で割って「老後の1カ月当たりの生活費に換算してみる」(=例えば、360万円損すると、毎月1万円生活費が減る)というリスク評価の考え方を追加したり、「人的資本」(本人の将来の稼ぎを現在価値で評価したもの)を考えると、リスクは吸収できる場合が多いと読者を勇気づけたり、といった工夫を毎回考えている。