日銀のETF買いが出なくなったので、売り方が売りやすくなった

 日経平均急落の背景として、需給面で、日本銀行の買いが出なくなった影響もあると考えられます。今まで、日経平均が下げるとすかさず日銀が巨額の日本株ETF(上場投資信託)買いを出していたので、売り方は売りにくくなっていました。

 ところが、5月に入ってから、日銀の日本株ETF買いがまったくありません。4月21日に701億円買ったのが最後で、5月からは買いを止めています。

 3月19日の金融政策決定会合で政策変更した通り、日経平均がもっと大きく暴落しない限り、日本株は買わない姿勢を明確にしていると考えられます。

日本銀行による日本株ETFの月間買入額:2015年1月~2021年5月(14日まで)

出所:日本銀行の発表データより作成

 3月19日に日銀は、以下の通り、ETF買い付け方針の変更を発表しています。

【1】「日本株ETFを年間6兆円買い入れする原則」を削除
【2】必要に応じて「年間上限12兆円まで日本株ETFを買い入れる」方針は残す
【3】日経平均連動型のFTF買い付けはやめる。買う場合は、TOPIX連動型ETFにする

 日銀の発表は、「日経平均が高い水準の時は買わず、急落した時だけ買う」ことを明確にしたものと解釈されます。4月は721億円のみ買い、5月はまったく買っていません。

 これで、日経平均先物を売る投機筋は、売りやすくなったと思われます。それが、先週の日経平均の大きな下げの需給面での要因となっています。