日本の景気回復が遅れる懸念・米景気が過熱する懸念

 日本では、コロナワクチンの接種遅れと変異種の感染拡大から、東京・大阪などに発令された3回目の緊急事態宣言が延長されました。東京オリンピックの開催を危ぶむ声も出ています。日本の景気回復が遅れる懸念が出たことから、日本株を売る動きが出ました。

 一方、米景気は好調です。好調な米景気を受けて、NYダウの高値更新が続いていました。ただし、ここへきて、米景気が過熱する懸念が米国株の新たな不安材料となっています。

 コロナワクチンの接種が進み、リベンジ消費(コロナ禍でできなかった消費)がまとめて出る中、バイデン政権による1.9兆ドルの財政出動も行われることから、米景気は、年後半に過熱する可能性も出ています。

 もし、本当に過熱してしまうと、インフレが進み、米金利が上昇、そうなると、来年は過熱の反動で景気失速が視野に入ってきます。

 そうした懸念から、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)などグロース株の多いナスダック総合指数は調整色が深まっています。

 景気敏感株が多いNYダウは堅調ですが、ナスダックの調整が大きくなったことが、日本株でもグロース株が売られる要因となっています。

ナスダック総合指数の動き:2020年10月1日~2021年5月14日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成