為替DI:5月のドル/円、個人投資家の予想は?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

「5月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が先月末に実施した相場アンケート調査によると、回答をいただいた個人投資家4,873人のうちの34%(1,642人)が、5月のドル/円は「ドル高/円安」に動くと予想しています。先月の49%に比べて、円安見通しは減っています。

 とはいえ、円高見通しが強まったわけではなく、実際は見通しがほぼ均等に分かれていて、「ドル安/円高」は33%(1,621人)、「動かない(わからない)」も33%(1,610人)となっています。

コロナ感染は一体どこまで広がるのか? 

 戦国時代、天下人であった豊臣秀吉のお伽(とぎ)衆(話し相手)の一人に、曽呂利新左衛門(そろり・しんざえもん)という刀の鞘(さや)師がいました。彼の作った鞘は刀をソロリと包み込み、ピタリと合うので、「曽呂利」という異名で呼ばれるようになったそうです。彼は非常に頭の切れる人物でした。

 あるとき、秀吉から「褒美(ほうび)に何が欲しいか?」と聞かれた新左衛門は、少し考えてからこう答えました。「初日は米1粒、2日目は2粒、3日目は4粒、4日目は8粒というふうに、1粒から始めて100日間、前日の倍の数の米粒をいただけますでしょうか」。

 これを聞いた秀吉は「なんと欲のない奴だ。そんなものでよいのか」と安請け合いをしました。ところが、すぐにとんでもない約束をしてしまったと困り果てることになりました…。

 新左衛門の申し出通りに米粒を与えると1週間目はたった64粒。2週間経ってもようやく8,192粒で、1合(約6,500粒)を少し超える程度にしかなりません。ところが、1カ月後にはなんと5億粒を超え、およそ200俵に相当する米を与えなくてはいけないことになります。

 1俵は約60キログラムなので、200俵は重さにすると12トンになります。51日目には、現在の日本の総生産量(約850万トン)さえも超えてしまいます。約束の100日目には…想像するのもおそろしい量になります。

 さて、初日の米1粒を、新型コロナの最初の感染者に置き換えてみます。最初1人の感染者が1日に2人移したとして、2日目は2人が4人、3日目は4人が8人と感染が広がっていくと仮定するならば、2週間後の感染者は8,192人となり、計算上は1カ月後に5億人まで感染が広がることになります。

 これは等比数列といって、初項にある一定の数(公比)をかけ続けていった数列です。

 上の例では、感染者1人(初項=1)が2人(公比=2)にウイルスを移すと仮定して、感染者は2人、4人、8人、16人…と、2週間後には感染者が8,192人になる計算ですが、最初に感染者が3人いたなら(初項=3)、感染力が2人(公比=2)で同じだとして、感染者は、3人、6人、12人…と14日間で2万4,576人まで増えます。

 感染をなくすには最初の米1粒をなくす、つまり新型コロナウイルスを絶滅させることですが、もはや手遅れ。それで人に移す機会をロックダウンや緊急事態宣言によって極力減らそうと努力しているのです。

 それにもかかわらず感染が急スピードで拡大している理由のひとつは、感染者が十分に減るのを待たずに移動制限を解除したからだと考えられます。

 さらに心配なことは、新型コロナの変異株は感染力がさらに強いといわれていること。つまり等比数列の公比が大きくなると。

 3人感染者がいて感染力が3人(公比=3)に強まるとすれば、14日間で感染者は478万2,969人まで増加。感染力が4人なら同期間で2億132万6,592人まで増えて、日本の人口をあっという間に超えてしまいます。

 もし、このペースで増えていくとすればどうなるのか? 米国立アレルギー感染症研究所所長であり免疫学者のファウチ博士は、「ウイルスは変異し続け、遅かれ早かれ、誰もが変異株に感染することになる」と警告しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券の相場アンケート調査によると、個人投資家の26%が5月のユーロ/円は「ユーロ高/円安」に動くと予想しています(先月は30%)。

 一方「ユーロ安/円高」は、最も少ない22%。最も多かった回答は「動かない(わからない)」の 52%でした。

 

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券の相場アンケート調査によると、個人投資家の23%が5月の豪ドル/円は「豪ドル高/円安」に動くと予想しています(先月は28%)。

豪ドル安/円高」に動くは21%。最も多かった回答は相変わらず「動かない(わからない)」で56%でした。