筆者が使う口座、その理由は?

 では、筆者はどの口座を使っているかといえば、特定口座(源泉徴収あり)です。特定口座の制度ができてからずっと特定口座(源泉徴収あり)を使用しています。

 先ほどの説明のように、納税タイミングが早くくるので資金効率が落ちるのは確かですが、資金繰りの面で困ったということは、実際にはありません。

 投資に回せる資金を目いっぱい使うということもほとんどなく、必要であれば信用取引を使って一時的な資金の不足をまかなえばよいと思っていたからです。あくまでも現時点で使える資金の範囲内で資金繰りを考えていました。

 もし、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を使っていたとして、一時的に使える資金が増えたとしても、それを投資に回した結果、損失を被ったりする可能性もあります。また、利益の約20%が天引きされるだけで、利益の残り80%は手元に入るわけですから、利益が上がれば、投資元本自体は十分増えているのも確かです。

 ただ、デイトレードなどの短期売買中心の方は、使える資金があればあるほど有利になるはずですので、特定口座(源泉徴収なし)の方が向いていると思います。投資資金がまだ少なく、多少無理してでも目いっぱい投資してできるだけ早く資金を増やしたいという方も特定口座(源泉徴収なし)の方が有利かもしれません。

 なお、特定口座(源泉徴収あり)は、資金繰りの面ではマイナス要素があるものの、確定申告をしなくてもよい(してもよい)、いくら利益が生じても基礎控除、配偶者控除や住宅ローン控除などに影響を及ぼさない、といったプラス要素もあります。

 ご自身が、どの部分を重視するかによっても、使う口座の選択は変わってくると思いますが、今回は税金を支払うタイミングによる資金繰りの差という切り口から考えてみました。口座選択のご参考にしていただければ幸いです。