税金という「コスト」の面から証券口座を選択する

 ここで、「一般口座」「源泉徴収なしの特定口座」と「源泉徴収ありの特定口座」とで、どのように資金繰りに差が生じるかを説明していきます。

一般口座と源泉徴収なしの特定口座の場合

 まず、一般口座と源泉徴収なしの特定口座の場合は、売却益に対する税金を納付するのは、約定した翌年の3月15日(※)です。

※振替納税を使うと、さらに1カ月ほど遅くできる

源泉徴収ありの特定口座

 一方、源泉徴収ありの特定口座の場合、売却時、売却益に対する税金が天引きされてしまいます。

税金がどのように資金繰りに影響するのか

 例えば現在、現金500万円、時価500万円の株式(取得額100万円)の投資資産があったとします。そして今年5月に保有する株式500万円を全て売却した場合、手元に残る現金は次のようになります(売買手数料などの諸経費は無視します)。

現金 株式
500万円 時価500万円
(※取得額は100万円)

■今年5月に株式をすべて売却

  現金 内訳
一般口座・
特定口座
(源泉徴収なし)
1,000万円 もともとあった500万円

株式売却の入金500万円
特定口座
(源泉徴収あり)
918万7,400円 もともとあった500万円

株式売却の入金418万7,400円(※)
(※)売却額500万円-([売却額-取得額100万円]×20.315%)
差額 81万2,600円  

 このように、源泉徴収ありの特定口座では、売却益400万円の20.315%が天引きされるため、手元に残るお金が一般口座・源泉徴収なしの特定口座よりも81万円ほど少なくなってしまいます。

 もちろん、一般口座・特定口座(源泉徴収なし)の場合も、翌年3月15日までにはこの81万円を納税しなければいけないのですが、それまでの間は、この約81万円は自由に使うことができます。

 つまり、特定口座(源泉徴収あり)の方が、税金を先んじて払わないといけないため、その分使える資金が減り、資金効率が落ちる、という影響があるのです。