PERがやや高いことが上値追いを阻む要因に

 世界の主要株価指数PER(株価収益率)は、歴史的にだいたい10倍~20倍で推移してきました。成長性で評価される米国株(S&PP500)の予想PERは、近年17~21倍で評価されてきました。現在は約23倍で、過去のバリュエーションと比較すると、やや割高な水準です。一段高に進むためには、さらに業績の拡大期待が高まる必要があります。

 日本株(TOPIX)の予想PERは、近年14-17倍で推移してきました。現在、約22倍です。こちらも、過去のバリュエーションと比較すると割高です。ただし、これから3月決算の発表がピークを迎えつつあります。日本株(TOPIX)の予想PERを構成する個別銘柄のPERは、3月決算が発表される都度、2021年3月期予想PERから2022年3月期PERに置き換えられます。コロナ直撃の前期PERから、コロナの影響が低下する今期PERに置き換わる銘柄が増えるので、5月中に、TOPIX予想PERは、大きく低下する見込みです。

 ただし、緊急事態宣言の影響で、サービス業(非製造業)の業績回復は鈍いままです。米国・中国の景気拡大の恩恵を受けて業績回復が急ピッチで進むと考えられる製造業も、期初は保守的(低め)に業績予想を出してくる可能性があります。そうなると、5月にTOPIX PERの低下が予想ほど進まないかもしれません。

 景気・企業業績の回復期待があるので、日経平均の下値は堅いものの、業績回復が少し遅れる見込みとなり、上値もしばらく重い可能性があります。ただし、楽天証券では、コロナの影響低下で、TOPIXの予想PERは2022年3月期で17.2倍まで最終的に下がると予想しています。業績の大幅回復がはっきり見えるまで、まだ時間がかかりそうですが、秋までには日経平均は業績回復を好感して年初来高値を更新すると予想しています。

 日本株が下がる局面では、景気敏感株を中心に押し目買いしていくべきと考えています。投資の参考銘柄については、以下、著者おすすめのバックナンバーをご参照ください。

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