連休中、NYダウは堅調も、ナスダックが値を下げる
GW休暇前、4月最終週(4月26-30日)の日経平均は、1週間で208円下がり、2万8,812円となりました。東京・大阪などに3度目の緊急事態宣言が発令され、景気回復が遅れる懸念から日経平均は上値の重い展開となっています。
一方、米景気は好調で、NYダウは堅調です。2月以降、日経平均が軟調に転じる中、NYダウは堅調です。日米の景気モメンタム(勢い)の差が、そのまま株価パフォーマンスの差に表れています。
NYダウと日経平均の動き比較:2020年10月1日~2021年5月4日(日経平均は4月30日まで)
ただし、GAFAMなどハイテク株比率が高い米ナスダック総合指数は、これまで米国株の上昇を先導してきましたが、日本の連休中に値を下げています。
ナスダック総合指数の動き:2020年10月1日~2021年5月4日
ナスダックは、米長期金利の上昇を嫌気して、2月に一時急落しました。ただし3月以降、米長期金利の上昇が一服する中、業績好調から見直し買いが入り反発していました。ところが、足元、再び上値が重くなっています。バイデン政権が2兆ドル規模のインフラ投資を実施する財源として法人増税を検討していること、米景気回復が行き過ぎてインフレになる懸念に加え、米アップルなど大手ハイテク企業の独占に対する規制議論が出ていることが嫌気されています。
PERがやや高いことが上値追いを阻む要因に
世界の主要株価指数PER(株価収益率)は、歴史的にだいたい10倍~20倍で推移してきました。成長性で評価される米国株(S&PP500)の予想PERは、近年17~21倍で評価されてきました。現在は約23倍で、過去のバリュエーションと比較すると、やや割高な水準です。一段高に進むためには、さらに業績の拡大期待が高まる必要があります。
日本株(TOPIX)の予想PERは、近年14-17倍で推移してきました。現在、約22倍です。こちらも、過去のバリュエーションと比較すると割高です。ただし、これから3月決算の発表がピークを迎えつつあります。日本株(TOPIX)の予想PERを構成する個別銘柄のPERは、3月決算が発表される都度、2021年3月期予想PERから2022年3月期PERに置き換えられます。コロナ直撃の前期PERから、コロナの影響が低下する今期PERに置き換わる銘柄が増えるので、5月中に、TOPIX予想PERは、大きく低下する見込みです。
ただし、緊急事態宣言の影響で、サービス業(非製造業)の業績回復は鈍いままです。米国・中国の景気拡大の恩恵を受けて業績回復が急ピッチで進むと考えられる製造業も、期初は保守的(低め)に業績予想を出してくる可能性があります。そうなると、5月にTOPIX PERの低下が予想ほど進まないかもしれません。
景気・企業業績の回復期待があるので、日経平均の下値は堅いものの、業績回復が少し遅れる見込みとなり、上値もしばらく重い可能性があります。ただし、楽天証券では、コロナの影響低下で、TOPIXの予想PERは2022年3月期で17.2倍まで最終的に下がると予想しています。業績の大幅回復がはっきり見えるまで、まだ時間がかかりそうですが、秋までには日経平均は業績回復を好感して年初来高値を更新すると予想しています。
日本株が下がる局面では、景気敏感株を中心に押し目買いしていくべきと考えています。投資の参考銘柄については、以下、著者おすすめのバックナンバーをご参照ください。
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