GWは円高か?

 日本は今週から来週にかけてゴールデンウィークに入ります。日本のGWは円高に警戒との見方があり、毎年このコラムでも話題に上げていますが、実際には円安の年もあり、やや円高の年の方が多いという程度です。ただ、円高に行った時に値幅が大きい年があり、その印象が強いため「GWは円高に警戒」との見方になっているのかもしれません。

 ちなみに昨年は、GW期間中の高値安値でみると、4月30日の107.50円近辺を付けた後は、トランプ大統領(当時)の中国に対する報復関税示唆を受けて6日に106円を一瞬割れたことから、値幅は約1円50銭でした。終値ベースでみると、GWに入る前の4月28日の終値は106.90円近辺、GW最終日の6日の終値は106.10円近辺となっているため、4月から5月のGW期間中の円高は終値ベースで約80銭でした。この程度の値幅なら、通常の値動きの中でもみられますので、特にGW中だから円高に動いたということではないと言えます。

 今年は、4月に入ってから110円台から107円台まで円高が続いたため、ひと相場が終わったという感じです。ここから、更に円高になるためには相当のドル安の力が必要です。むしろ、様々なイベントの中で円安への反転力がどの程度あるかを見極める期間になるかもしれません。もし、反転の力が弱ければ、そこから円高への第2ステージが始まるかもしれません。

 ワクチン接種の進展が通貨の強弱の序列になっているのならば、これ以上円が買われる力は乏しいのではないかと思われますが、日本の極めて低い接種状況の中でも円安への力が弱ければ、接種が進展する6月、7月には経済回復期待が高まり、円高が強まるかもしれません。逆にその頃に先行した欧米の接種のピーク感が漂っていれば、円高を後押しするかもしれません。

 いずれにしろ相場の方向性とは別に、GW中の東京時間帯は、「プライスの悪さ」や「値が飛ぶリスク」には特に注意する必要があります。