21世紀に入り、製造業で成長するビジネスモデルが崩壊。サービス化社会を迎える

 20世紀は、モノの豊かさを求めて人類が努力した時代でした。当時は、生活を豊かにするモノを開発し、いちはやく安価に大量生産する技術を確立した製造業に投資すると、高い投資成果が得られました。ところが、21世紀に入り、状況は変わりました。モノは人気が出て一時的に不足しても、すぐ大量供給されて、価格が急落するようになりました。

 モノが供給過剰になる中、良質なサービスは供給不足が続いています。医療・介護・保育・宅配・防犯・警備・建設(熟練建設工)など、良質なサービスが不足している分野はたくさんあります。サービスは、モノのように工場で大量生産することができないからです。供給を10倍にするためには、投入する人材を10倍にしないとならないような分野が数多く残っています。

 21世紀は、良質なサービスを安価に大量供給する仕組みを作った企業が成長しました。ITサービスは、いずれも、サービスの大量生産に道をつけるものです。Eコマースは、リアル店舗を作るコストを省き、ネットを通じて、小売サービスの量産を可能にしたものです。情報通信・サービス業に、PERが高い銘柄が多いのは、景気変動の影響を受けにくい安定成長の仕組みを作ったことに対する評価と言えます。

 今後、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)・5G(第5世代移動体通信)・ロボットや、その応用分野(自動運転・フィンテックなど)から、21世紀の成長企業が多数出てくるでしょう。

投資銘柄選別で考えるべきこと

 割安株投資が好きな人は、ついPERの低い製造業や金融業ばかりに投資しがちです。一方、成長株投資が好きな人は、ついPERの高い非製造業や小型成長株ばかりに投資しがちです。私は、両方に分散投資する必要があると考えています。

 PERの低い製造業からは、サービス化・IT化社会への対応力をつけつつある銘柄を選ぶべきです。一方、成長が期待されるITサービスやバイオ株では、株価が急激に上がった銘柄ではなく、株価が調整しているタイミングの銘柄や、まだ成長を十分に評価されていない銘柄を選んでいくことが必要と考えています。

 私は、短期的には、景気敏感バリュー株の上昇率が高いと予想しています。ただし、より長期の投資を考えるならば、グロース(成長)株とバリュー(割安)株に分散投資した方が良いと思います。つまり、PERで言えば、高い株と低い株、両方に分散投資した方がいいということです。