米国株は強い状況が続く。中国リスクに要注意

■(図3)米NASDAQ(日足)とMACD(2021年4月16日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は米NASDAQの日足チャートです。

 4月に入ってからのNASDAQはほぼ右肩上がりとなっており、2月16日の直近高値をトライしそうな水準まで株価が上昇してきました。株価と移動平均との絡みを見ても、5日移動平均線に沿って上昇していることが分かります。さらに、25日と75日移動平均線との「ゴールデンクロス」を達成し、下段のMACDも順調に上昇基調を描いていて、強い状況といえます。

 史上最高値を更新しているNYダウやS&P500もNASDAQと同様に、5日移動平均線に沿って上昇しています。

 日足ベースでは、トレンド転換の強いサインはないため、今週も上方向への意識が強い状況が続きそうです。ただし、株価が5日移動平均線を明確に下抜けた時には注意が必要です。経験則として、株価が5日移動平均線を下抜けると、25日移動平均線まで調整しやすい傾向があり、実際に上の図3でも同様の場面が見られます。

 目先の相場の視点は企業業績に向かいがちですが、その一方で、国内の新型コロナウイルスの状況や、日米首脳会談の内容を受けた市場の反応など、決算以外の材料にも注意しておく必要もありそうです。とりわけ、先週末16日(金)行われた日米首脳会談では、共同声明に「台湾」が記され、中国側が不満の姿勢を見せている、中国絡みのリスクには警戒を要するかもしれません。

 これまでの中国リスクといえば、米中関係の動向がメインで、間接的に日本に影響があるという見方が中心でしたが、ここにきて、いわゆるウイグル問題や台湾問題によって直接的な影響が出始める可能性が出てきています。

 実際に、先日のファーストリテイリングや良品計画などの株価は中国新彊綿の取り扱いをめぐる思惑が影響して荒っぽい値動きを見せた経緯があるなど、中国との関わりが深い企業にとっては、中国の巨大な消費市場を失う懸念と、自国を含む他の国からの信頼を失う懸念との板挟みとなる場面が増えることが考えられ、さらに、人権問題を無視する企業の姿勢はESGやSDGsの観点から投資家からの資金が入ってこなくなるデメリットもあります。

 サプライチェーンの見直しも含めて、企業は中国との距離感が課題になってきそうです。 したがって、決算内容を好感する動きが期待される一方で、素直に上値を試しにくい相場環境も想定されるなど、相場に中長期的な方向感が出てくるにはまだ時間がかかるかもしれません。