解散総選挙に勝たないと国民の信を得たと言えない

 菅首相は9月の自民党総裁選に勝って首相になったものの、まだ国政選挙をやっていないので、国民の信任を得たとは言えない状態です。早くに国民の信を得るためには、政権発足の直後、昨年のうちに解散総選挙をやる選択肢もありました。

 ただし、コロナ蔓延が不安視される中で解散総選挙を行うことは、国民の理解が得られない可能性もありました。菅首相は「コロナ対策を優先」と言い、解散しませんでした。1~3月の解散もあり得ましたが、首相は聞かれるたびに、「今、解散すべき状況でない。コロナ対策に全力で取り組む」と答えてきました。

 そこで4月、もしコロナが収束にむかっていれば、日米首脳会談を成功させた後に解散、という予想が出てきました。2月には1日当たりの新規感染者数が急速に減少し、緊急事態宣言の解除が視野に入っていましたので、4月解散が大いにあり得ると思われました。

 ところが、緊急事態宣言を解除した途端に、感染者が急増し始めています。菅首相は、春解散もあきらめざるを得ない状況に追い込まれつつあります。