アドバンスト・マイクロ・デバイセズ

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(ティッカーシンボル:AMD)は1969年に創業された半導体メーカーです。現在、同社は半導体の製造をファウンドリーに外注しており、設計に注力しています。同社のファウンドリーは、グローバルファウンドリーならびにTSMCです。

同社は長年、経営不振にあえいできました。2012年に債務返済の再交渉を行うと同時に7%の従業員を解雇し、経営改革に乗り出しました。この結果、当時売上高の9割を占めていたPC向け半導体は、現在、6割を切っています。

同社はインテルのx86マイクロプロセッサー互換型のCPUを作っています。

同社の現在のデスクトップ市場でのマーケットシェアは約12%、ノートPCでは9%、サーバでは1%です。

AMDは新製品、「ライゼン7」CPUを発表したばかりで、現在はこの新製品に対する期待から株価が上昇しています。

AMDはAPUも作っています。APUとはCPUとGPUの機能をひとつのシリコンの上に統合したものを指し、CPUならびにGPUにかかる負荷を軽減するため、一部のタスクをオフロードする役目を果たします。

さらにAMDはGPUも作っています。GPUはグラフックス描画の際、並列計算を司ります。近年、GPUはグラフィックス以外の用途にも使用され始めており、スーパーコンピュータ、深層学習、AI、機械知能、さらには組み込みシステムなどにも利用されています。AMDの「ベガ」GPUは第2四半期に発売される見込みです。

AMD の2016年の売上高のうち約6割がソニー(プレイステーション4)、マイクロソフト(Xボックス)、HPの3社から上がっています。

このうちソニーとマイクロソフトは主にAMDのエンタープライズならびに組み込みシステム製品を購入しており、HPは主にMADのコンピューティングならびにグラフィックス製品を購入しています。

これらの顧客はAMDが新製品を出す度に、それを採用するかどうか判断します。もし採用されなかった場合、AMDは大きな売上機会を逸します。

AMDのバランスシートには14億ドルの純負債が載っており、営業キャッシュフローから借金を返してゆけるかどうかは定かではありません。

2016年通年のグロスマージンは23%で、2015年の27%より下落しました。マージンが下がった主因は2016年第3四半期に3.4億ドルの評価損を計上したためです。この評価損はグローバルファンドリーとのウエハー供給契約を改訂したことで発生しました。

下の一株当たりの業績のグラフに見られる通り、AMDの過去の業績は、万年赤字体質であり、芳しくありません。

【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高