50代までの計画的な資産形成が重要になる

 あなたが65歳になったとき、退職金・企業年金制度の資産額を含めて、3,000万円以上持っているなら、イヤな仕事をせずに引退することができます。あるいは年100万円以下の収入でも気にせず、やりたい仕事を行うこともできます。

 しかし、65歳時点で資産額が1,000万円くらい(退職金以外にほとんど貯められなかった)の場合は、70歳までフルタイムの仕事を求めることになるでしょう。

 だとすると、重要になってくるのは、現役時代の資産形成、老後に向けた財産づくりということになってきます。

 30~40代の人がiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)に加入したり、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を利用して資産形成を行うことは、究極的には「自分の辞め方を、自分で決められるようにするため」なのです。

 つみたてNISAについては「満額の年40万円×自分の65歳までの年数」で考えれば積み上がる元本額が分かります。運用益について過剰な期待は禁物ですが、20年以上の時間をリスク資産に投じられるのなら、元本の1.5倍くらいを受取額に見込んでもいいでしょう(期間と運用利回りによって異なるのであくまで概算ですが、20年で年4~5%くらい稼ぐイメージ)。

 iDeCoについては、下記のパターンどちらかを自分の65歳までの年数(65歳まで積み立て可能になる)でかけ算して、現在の法律に基づく元本額を見込んでおくといいでしょう。運用収益についてどのくらいを見込むかはお任せします。

・企業年金なし会社員月2.3万円
・公務員と企業年金あり会社員 月1.2万円

 ただ、iDeCoについては、2022年に制度改正があり、会社員の場合は他の企業年金や企業型DC(確定拠出年金)の状況によりiDeCo限度額が月0.0~2.0万円に変動するので、積み立て元本が上積みできる人と減ってしまう人が出るため、ご注意ください(iDeCo限度額が減る人は、企業年金が充実している、ということです)。

 そして、退職金・企業年金の受取見込額をこれに加えます。社内制度については多くの人が無理解ですから、自分の老後をマジメに考えるいい機会です。ぜひリサーチしてみてください。