「70歳まで働かされる」のではなく「自分で辞めどきを決める」時代へ

 ところで、今回の法改正を「なんだよ、70歳まで働かされるのか!」と理解するのは大間違いです。これは会社には70歳まで雇用確保を求めていますが、あなた自身は何歳で辞めようとも自由であるからです。

 もともと、あなたは「定年」や「65歳継続雇用」など気にせず、いつだって仕事を辞めることができます。そうしないのは経済的安定が確立していないからです。

 老後の大きな安定収入となる公的年金は65歳の給付水準を据え置きますから、70歳現役社会になっても、あなたは65歳で辞めてリタイア生活に入ることもできます。つまり60代後半は、「働かされる」という発想を捨て、「自分で辞めどきを決める」年代なのだ、ということです。

 もし、あなたが65歳になったとき、「お金を稼がなくてはいけないから」という理由で働き続けるのか、「お金の問題はひとまずおいて、やりたいかどうか」を働く理由とすることができるかは、あなたの人生において大きな違いとなってくるでしょう。

 しかし、あなたの老後資産形成が十分ではないと考えるなら、仕事のやりがいはともかくとして、働き続けることを考えなければなりません。

 できれば、仕事のやりがいだけを考えて65歳の決断をしたいところです。そしてそれは、究極的にはあなたの「65歳時点の資産残高の問題」となります。