安易に不動産投資に手を出すくらいならREITの方が良いと思う理由

 また、不動産投資は株式投資と並び、資産運用の王道です。

 ただ、誰でも簡単に成功するかといえば、そんなことはありません。不動産投資で成功している人たちは、さまざまな勉強や努力を重ねた結果成功しているのであって、誰もが同じようにできるとは限らないのです。

 そして不動産投資の最大の特徴は、借り入れをして投資するという点です。レバレッジ(投資額に対する借入金割合)をかけて投資しないと、大きな利益を得ることができないからです。ただ、不動産投資が失敗した場合、この借入金は重くのしかかることになります。

 筆者は、安易に不動産投資に手を出して失敗するくらいなら、REIT(リート:不動産投資信託)に投資した方がよいと思っています。

 実際に手間ひまをかけ、借金のリスクを背負ってまで不動産投資をして失敗してしまうより、いつでも手軽に売買ができて、かつそれなりの利回りも得られるREITの方がはるかに安全・安心です。

 そしてもう一つ、不動産投資よりREITの方が有利と筆者が考える理由が、課税の方法です。

 不動産投資による賃貸収入は総合課税とされていて、最大約55%の税率になります。一方、REITの課税は上場株式と同じ、20.315%の分離課税です。

 もし不動産の実物に投資して年間利回りが6%、そこから55%の税率で課税されると、税引き後の実質利回りは3%弱になります。

 他方、年間利回り4%のREITに投資した場合は、税率が20.315%ですから、実質利回りはおよそ3.2%になります。

 このように、税引き前の利回りは不動産の実物の方が高いのに、税金を加味すると、税引き前利回りが低いREITの方が、手取りの利回りは高くなることもあるのです。

 このように、税率の違いを考慮すると、特にすでに多くの所得がある方にとっては、不動産の実物に投資するよりも、REITに投資した方が手軽で、かつ実質利回りも十分高いものが期待できます。