確定利回りなら持ち続けた方が元本はより大きく膨らむ

 利回りを考えるとき、一般的に「複利効果」について言及されます。

 この複利効果は、投資元本100万円の運用で、毎年5%の利息や配当金をそのまま受け取るのではなく、元本に組み入れて再度投資に回し、元本を大きく増やし、投資効果を高めることができる効果をいいます。

 株式や投資信託、債券などの場合、値上がりして売却したときは、売却益に税金が課税されます。仮に売却後、再投資しようとすると、税金の分だけ再投資できる元本が減ってしまいます。そして、債券の利息など、確定した利回りが得られるのであれば、利息は再投資し、元本も売却せずに持ち続けるのが有効です。

個別株は複利効果一辺倒では損することも

 ただ、個別株への投資の場合は、それとはちょっと様相が異なります。

 例えば、株価が1,000円から1万円まで上昇した株があるとします。

 1万円に至るまでの間に買ったり売ったりを繰り返した場合と、1万円までずっと持ち続けた場合とを比較すると、おそらくずっと持ち続けた方がより大きな利益になる可能性が高いと思います。

 ただ、それは1,000円で買った株が1万円まで上昇した場合の話です。

 当然、1,000円で買った株が1万円にならずに100円になってしまうこともあります。そうなったら、持ち続けることで利益を上げるどころか、含み損が膨らんでしまい、投資効率を大きく落とすことになってしまいます。

 確かに税金面を考慮すると、安易に買ったり売ったりせずに長期間持ち続けるべきともいえますが、株価が買値から大きく下がってしまうこともあります。

 上昇トレンドの間は持ち続けて問題ないが、下降トレンドになったら売却する、という方法の方が安全性は高いと筆者は感じます。