アドラー心理学と市場分析の接点

 ベストセラー「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健 著)を読まれたことはありますか? アルフレッド・アドラーの「アドラー心理学」を熟知した哲人と、反駁しながらも本音をうち明けながら哲人に教えを請う青年との対話形式で進行する、同心理学を解説する名著です。

 アドラー心理学は、自己受容、他者承認、他者貢献を3つの柱とし、原因論を否定・目的論を肯定します。また、人生は刹那という点の連続だとして、「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当て続けることが重要だとしています。

 筆者がこの本を手にしたきっかけは、生涯学習を体現するため、とある大学の通信課程に入学するための課題(レポート)の題材に選んだことだったのですが、読み進めるうちに、アドラー心理学が、現在のさまざまな市場を分析する上で必要な考え方につながる、と感じるようになりました。

 特ににそう感じたのは、アドラー心理学が「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てる“現在凝視”を重視する点でした。筆者がこれまで考え、述べてきたことと非常に近い点が、「嫌われる勇気」で述べられていたのです。

 例えば、「目標2,000ドル!?「金投資版・三密回避」で利益最大化を目指そう!」 では、過去の常識や成功体験、集団心理と密にならないことが、花の山(投資家としての成功)にたどり着くカギだと、述べました。

 過去の常識や成功体験と密にならないことは、アドラー心理学の“過去から自分を切り離す”こと、集団心理に流されないことは、同“自己受容”や“他者承認”の考え方とつながります。

アドラー心理学の特徴

自己受容他者承認、他者貢献が3つの柱

・原因論を否定・目的論を肯定

・人生は刹那という点の連続

過去から自分を切り離す

「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当て続ける

出所:岸見一郎、古賀史健 著「嫌われる勇気」よりに筆者作成