今を見ろ!過去で自分を縛るな!“現在凝視”こそ、正しい純金積立の作法

 純金積立のように、時に数十年にもおよぶ長い期間を前提に行う投資の場合は特に、過去の常識から離れることが求められると筆者は考えています。長期間、金相場と対峙するわけですので、価格が思惑通りに動くことも、そうでないことも、当然のように起こり、そして当然のようにその損益が自分に降りかかってくるためです。

 過去の常識に縛られ、今を正しく解釈できなければ、価格が思惑通りに動いていないときは過度に不安になったり、思惑通りに動いているときは過度に自信満々になったりしてしまうかもしれません。

“感情の浮き沈み”という“敵”と戦い続けることが求められる純金積立のような長期投資こそ、「いま、ここ」を正しく解釈し続けることが重要です。そしてそれには、アドラー心理学で重要視されている、(常識や成功体験などの)過去から自分を切り離すことが必須スキルと言えます。

 以下のグラフの通り、近年の金相場を取り巻く環境は、激変中と言っても過言ではありません。特に2003年頃から、価格の水準が切り上がり始めましたが、単に一つの材料でこのようなことが起きているとは考えられません。

 それまでの古い材料と、その時代ならではの新しく材料が、交錯していると考えられます。このため現代の金相場では、先述のような“株安・金安”も、その逆の“株高・金高”も起こりえます。

図:NY金先物(期近 月足) 単位:ドル/バレル

出所:ブルームバーグより筆者作成

 金相場の動向を、単に株との関係やドルとの関係などという過去の常識だけで説明できる時代は、すでに終わっていると言っても過言ではありません。では、どうすれば金相場の「いま、ここ」を正しく解釈できるようになるのでしょうか。そのポイントは何なのでしょうか。

 次より、筆者が考える、金相場と向き合うために有用な、6つのテーマを紹介します。